森守洋「レッスンは受けるな」Vol.9 クラブと体の動きが拮抗していれば「トップが浅い」という言葉は存在しない
森守洋「レッスンは受けるな」
堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。
PHOTO/ARAKISHIN
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切り返しの“間”
早く上手くなりたいのなら
切り返しを練習すればいい
今回のWBCで侍ジャパンは残念ながら準々決勝でベネズエラに負けてしまいました。WBCやメジャーリーグで投げているピッチャーの動きを見ていて感じることは、体の使い方(ボールに力を伝える技術)が本当に優れているということです。よくピッチャーはゴルフが上手いと言われますが、その理由は“間合い”を作るのが上手だからです。
ゴルフのスウィングは、トップで物体(クラブ)をUターンさせなければなりません。それが切り返しです。
切り返しで“間”がないと言われたことがある人は多いと思いますが、打ち急いでいるように見える人と見えない人の差は、まさに切り返しの“間”が関係しています。打ち急いで見えるのは切り返しでクラブヘッドと手元(グリップ)に時間差がない状態で下ろしてくる“押し”の作業をしているからです。
始動やクラブの上げ方を気にしている人は多いと思いますが、バックスウィング自体には実は明確な正解というものはありません。クラブの流れの方向付けはある程度決まりますが、極端に言えばどういうふうに上げてもいいのです。
でも切り返しでクラブをUターンさせてからは、ボールを叩くという目的が発生します。そのために自分が狙った安定したラインという軌道を描いてクラブを下ろす必要があります。切り返しは力のベクトルを方向転換させなければならない場所であり、自分が狙ったラインを描けるかどうかを決める場所でもあります。
ただ、プロゴルファーや上級者は切り返しでのクラブを下ろす方向決めを無意識でやっています。
一方、まだクラブを正しく扱えていないアマチュアの方の多くは“押し”の作業をしてしまいます。多くの人はダウンスウィングで右腰辺りにクラブが下りてきたポジションである「P6」のこととか、インパクトエリアのハンドファーストとかを気にしますが、そこをカタチ作ろうとしても実際はそうはならないです。
その理由は、それらの場所はすでにエネルギーが発生してしまった後のことだからです。ゴルフのスウィングで重要な役割をつかさどっているのは切り返しです。だから早く上手くなりたいのなら切り返しを練習すればいいのです。
もちろんプロや上級者のように上手い人は、切り返しを気にしなくてもできているから練習する必要もありません。でもアマチュアの人でハンドファーストにならないとか球が飛ばないなどと悩んでいる人は、切り返しだけ練習するべきです。極論トップなんてどこでもいいのです。
僕がいまだにわからないことがあります。よく「トップが浅かったからダメ」といった言葉を聞きますが、ジョン・ラーム選手のスウィングを見てみてください。トップはかなり浅いですが、打ち急いでいるように見えるという人はいないと思います。要するにトップの浅い深いはスウィングの良し悪しに関係なくて、切り返しで力を拮抗させられている選手は、トップが浅くてもしっかり“間”が見えるものです。
松山英樹選手もいい例です。実際に止めている意識があるかどうかはわかりませんが、トップで止まっているように見えるのはまさに力を拮抗させているからでしょう。松山選手自身の体の強さももちろん関係していますが、手元は止まっているように見えても他の部分が動くことで力を拮抗させているわけです。まさにメジャーリーグのピッチャーと同じ動きです。
ボールが飛ぶ方向、ボールに伝える力、クラブのスピードなどすべての要素は切り返しが決めているのです。
ジョン・ラームのトップは形だけ見ると浅いと言われるのかもしれないが、クラブと体の動きが拮抗しているから、切り返しの“間” がしっかりできている


解説/森守洋
もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る
週刊ゴルフダイジェスト2026年4月7日号より


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