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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.902 「一歩一歩の積み上げがアナタを遠くまで連れて行ってくれるのです」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


練習は質より量とか、あるいは長時間ダラダラやるより集中して短時間のほうが効果的とか言われます。 自分としては集中して球数をこなすのがベストだと思いますが、実行するのは難しいです。 岡本さんはどうお考えですか。(匿名希望・50歳)


ミラノ・コルティナ冬季五輪大会では、大勢の日本の選手たちが大活躍しました。

なかでも、フリースタイルスキーやスノーボードなど新しい種目を含めた競技で多くの日本の選手たちがトップを争うシーンに接したのは初めてでしたので、驚きと誇らしい気持ちになりました。

最近はコスパとかタイパなど短縮に重きを置く子たちが多いなか、時間をかけて辛抱強く何かを目指すことを続けてきた選手たちはとても輝いて見えました。


技術を磨くため辛抱強く反復練習を重ね、階段を一歩一歩上るプロセスをスポーツが持つ、そこに大きな力を感じさせてくれました。

今回のご質問にある「練習は質より量」ですが、昔ながらのフレーズで懐かしく響きますが、結論から言えば練習でもっとも大切なのは「集中して時間をかける」ことだと思います。

量なのか質なのか、禅問答のような答えのない問いに思えますが、問いと答えは何通りもの組み合わせがあり得ます。

だとすると、質問をする人は自分の納得する答えが返ってくるまで、何度でも同じ質問をし続けるかもしれません。

ゴルフの場合、ほかの球技と違い、手にする道具が多いという特徴があります。

ボールを打つのは、バット1本ではなく14本もあります。当然、練習内容もそれにつれて多様にならざるを得ません。

大まかに考えれば、1ラウンドの総打数はパットとショットで半分半分。ショットでドライバーを使うのは多くて14回なので、そう考えると練習時間が6時間あるなら、そのうち半分の3時間はパターの練習に充て、残りを各ショットの打ち方に充てるのが合理的ではあります。

使用機会で練習の時間割を組めばそういうことになります。でも実際の練習では、14本のクラブを毎回満遍なく打つわけにもいきません。

PW1本を取っても、フルショット以外にピッチエンドラン、ランニング、チップショットと少なくとも3通りの打ち分けをして、それぞれ自分なりの飛距離と弾道の物差し(スケール)を構築するのが練習の目的です。

さらに練習内容は週ごとや日ごとにテーマを設け、決まった番手を集中して打ったり、球筋を絞って打ち込んだりして技術を磨いていきます。

ですが、わたしもそんなにシステマチックに練習をしたわけもなく、ただ夢中になって打ち込んでいたというのが正直なところです。

そんな無我夢中の練習だからこそ内容が濃かったとも言えるのではないでしょうか。

たとえば「長時間ダラダラより効率よく短時間」と指摘されるダラダラの正体は、休み休みの集中力散漫のほかに、ただ球を打つだけの球数ノルマ式の練習をも意味します。

それでは練習の効果が薄くなりもったいないです。 ショット練習では、常に一球一球、球筋や目標をイメージして集中することが大切だと思います。 そしてイヤだなぁと思っても毎日続けて持続すること。

イヤでも始めると、そのうちいつもの調子が出てきて、日課というかルーティンになってくるのです。 練習効果を最大限に上げるのは、継続することにほかなりません。

古くからあるスポーツか新種目であるかにかかわらず、競技力の向上は中身の濃い練習と辛抱強い積み重ねにかかっている。

地道にコツコツは、いまどき流行らないかもしれないけど、それはスポーツの力を身に付けるためのもっとも基本的な手順なんだ。

わたしは、今回の冬の五輪を見てそのことを改めて確認できたように思います。

「いまの若い人たちも“コツコツ練習”をしている人はたくさんいます!」 PHOTO by AYAKO OKAMOTO

週刊ゴルフダイジェスト2026年4月7日号より