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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.255「若手をたしなめられる“うるさい先輩”も必要でしょう」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tadashi Anezaki

>>前回のお話はこちら

先週この場所で、僕らの若い時代は、先輩たちの「お前らまだ早い」といった無言の圧力みたいなもんがあって、なかなか若手は勝てんかったけど、今はそれがないので早いうちに勝つことができるという話をしました。

ツアーの雰囲気がそうなっているのもあるし、今の若い世代は自分しか見てないいうこともあると思います。それはいい意味で言えば、周囲の影響を気にせんとマイペースでできるいうことですが、一方で、自分のことばかりで周りのことが見えてないということでもあります。

ある試合のテレビ中継を見ておったときに、選手の帯同のキャディさんがグリーン上でラインを読むんに、エイムポイントかなんか知らんけどカップをまたいで周りの芝を踏んでラインを読んでいて、それを選手もとがめんのです。


僕らの時代はカップ周り30センチは傷つけんように言われてましたから、できるだけそこは踏まないようにしてボールを拾ってました。それがマナーだからです。でも今はルール違反やなかったら構わないというふうに思うんか、それを平気でやるというんが信じられんかったです。

他のプロやキャディもしているかはわからんけど、そこまでしてやらなあかんのかなと思うと寂しさを感じた次第です。でもこういうことを言うと、うるさい爺が何言うとんねんいうことになるんですよ。

でも、こういうことは先輩なり周囲が注意せな気づかんかもしれない。前に、今の若い選手たちは練習ラウンドで全部のバンカーから練習するので、時間がかかり過ぎるという話題のときに、谷口徹くんはそういう選手たちには「そんな(試合で)全部入らんやろ」と、やんわりとたしなめたという話をしました。こういうことをできるいうんが今のツアーで必要なことや思います。

彼はカシオで予選落ちした時点で来季のシード権が取れず、今シーズン限りで第一戦から身を引くことを表明しました。誰にでもいつかは訪れることですが、ツアーや若手選手たちのことを思うと、残念なことやと思いました。

カシオワールドを終えて。若手選手からTシャツを贈られ胴上げされた。「谷口くん、お疲れさま。まだまだいろんな話、していきましょや」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月23日号より