【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.252「小さな目標で大病に克つ」
奥田靖己「ゴルフはつづくよどこまでも」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Shinji Osawa
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- 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Tadashi Anezaki >>前回のお話はこちら この前、僕と同じ65歳でゴルフの腕前もそこそこいう人と回ったんですけど、最近トレーニングジムに通うようになって距離が15ヤード伸びた言うんです。……
すでに報道もされていることですけど、エビさん(海老原清治)、飯さん(飯合肇)、司さん(渡辺司)たちは、それぞれ大病を公表されています。それでもエビさんは「試合に出たほうがいいんだよ」と言うて実際に試合に出てくる。この気持ちの強さはすごいです。
司さんは「多発性骨髄腫」と診断され早々に抗がん剤をしてキツかった思います。でも、今年の春先、うちのコースでのシニア開幕戦で一緒に回ったときに、「司さん、歩いて大丈夫ですか」と声をかけたら、「いやいや『ノジマ』が歩きだから訓練してるんだよ」言うて、次の試合のノジマでは歩いてラウンドすることができた。その次は、「スウィングが悪くて地べたのボールが打てないから打てるように何とか頑張る」いう目標を立て、それをクリアしています。
見習いたいんは、無理せず、これやったらと、届きそうな目標を立てて、それをクリアしていくその姿勢です。
もちろん体調がよくないとそういった前向きな気持ちになれんですからね。素振りでもしようかいう気持ちにもならない。だから、健康で何でもできる人が何もやらないというんは本当にもったいないです。
司さんが言っておったんですけど、入院して病院の人や女房くらいしかしゃべらんと、喉の筋肉が落ちてきて、そうなると声が出なくなるらしいです。それが最近、司さんのしゃべりが以前のようにむちゃくちゃうるさくなったんで、元気になったいうことだと思って安心しました。
熱が40度以上あるなら無理ですけど、熱が下がって外を歩けるくらいになったら歩いたほうがええんです。そこを、「いやもうちょっとよくなるまで」なんてやっておると、だんだんと億劫になってくるんですよね。
司さんはいつも前向きです。僕らがシニアツアーのプロアマなんかで演奏をしてきた「ゴクロウサンズ」を見て、「オレもトランペットくらいだったら吹いてやるよ」と言うから、「じゃあお願いします」と言うたんですけど。聞けば、その日にトランペットを買いにいって、すぐに教室に通いはってトランペットをマスターされたと。この前もトランペットを吹いてくれましたわ。

「届きそうな目標を立てて、それをクリアしていく姿勢を見習いたいもんです」

奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2025年12月2日号より


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