Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 月刊GD
  • 【イザワの法則】Vol.59 グローブは合成皮革の“鈍感さ”がプラスに働くこともあります

【イザワの法則】Vol.59 グローブは合成皮革の“鈍感さ”がプラスに働くこともあります

夏は「熱中症対策」に「日焼け対策」、それにもうひとつ忘れてはいけないのが「汗対策」。とくにグローブが汗で濡れて滑ってしまう問題は、プレーに大きな影響を及ぼす。プロはどういう対策をしているのだろうか?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

>>前回のお話はこちら

プロは1ラウンドで7~8枚
グローブを消費する

夏のゴルフは暑さ対策が肝心ですが、それには「汗対策」も含まれます。とくに問題なのが「グローブ」ですね。天然皮革グローブは、フィット感の高さと滑りにくさが長所ですが、汗でびっしょりになってしまうと、一気にグリップ力が落ちてしまうのが難点です。それに、そうなるともうグローブ内がぬるぬるして、着け心地が悪い。

プロで天然皮革にこだわる人の場合、夏場は1ラウンドで7~8枚グローブを消費します。2、3ホールで新品に替えるということなので、それくらいだったらなんとか「ぬるぬる」にならずに済む感じでしょうか。プロのグローブがいくら「支給品」だとしても、そんなに短期間でたくさん使って大丈夫なのかと思うかもしれませんが、シーズンが始まってしまえば、試合のたびに会場で追加支給されますので、よほどのことがない限り足りなくなることはありません。


ただ、シーズン前のまとまった支給が遅れることがまれにあって、そうすると手持ちの新品を使い切ってしまうこともあります。知り合いのプロは、それでしょうがなく使用済みのグローブを洗って使っていたことがありました。天然皮革グローブは、実は洗えるんですが、風合いが変わってしまうので、プロはあまり洗って使うことはしません。ですが、新品がないならしょうがない。背に腹は代えられないわけです。

合成皮革グローブの「鈍感さ」が
プラスに働く面もある

私自身は、とくに天然皮革グローブにこだわりはなく、合成皮革のオールウェザータイプもよく使います。夏場の試合だと、スタートホールでは天然皮革のものを着けますが、これは好みの問題ではなくて、言ってみればプロとしての「儀礼」みたいなものでしょうか。「プロのグローブは天然皮革」というステレオタイプみたいなものが、ギャラリーの方たちの中にもあると思うので、そういう人が「ざわつかない」ための配慮でもあります(笑)。ただ、3ホールくらい消化するとやっぱり「ぬるぬる」になるので、そこで素早くオールウェザーに切り替えますが……。

以前は手にぴったりフィットして、素手に近い感覚の天然皮革グローブがいいと思っていましたが、今は繊細なアプローチの場面でも、天然皮革だとか合成皮革だとかは、とくに気にならなくなりました。そもそも着けてから2、3ホール経つと、どっちのタイプだったか忘れてしまうくらいです(笑)。あ
まり細かいところまで神経を張り巡らせていると、このグローブは指のところが少しきついとか、手のひら部分が少し厚いとか、革のグローブの「個体差」まで気になってしまって、肝心のショットに集中できないこともあります。だから、グローブに関しては、合成皮革の少し「鈍感」な感じがむしろいいと思っています。

もちろん、アマチュアの方は革のグローブを1ラウンドで何枚も使うなんていうのは非現実的ですから、夏はオールウェザータイプにするほうがいいと思います。今は、濡れるとますます滑りにくくなるというグローブ(ゼロフィット・インスパイラルグローブ)というのがあるみたいですから、そういうものを積極的に試してみるのもいいでしょう。

「青木(功)さんはパツパツが好み。
ジャンボさんは指がぶかぶか。

プロの好みもいろいろです」

神経質すぎるのもよくない!

合成皮革の最大の利点は、風合いを損なわずに何度も洗って使える点。消耗品としてのコストを抑える意味でも、夏場の必需品と言える。伊澤プロも天然皮革と合成皮革のグローブを2種類バッグに入れ、その日の気温、湿度などによって使い分けるという

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2025年10月号より