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【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.10「ドローボールを打ちたい! そんな人へのアドバイス」

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら

ドローボールはアマチュアゴルファーの憧れですよね。カッコいいし、飛距離は出るし、相手を威嚇できるし、上手くなった気がしてすこぶる気持ちが良いです。

そこで今回は、“ドローボールの神様”後藤修先生の不肖の弟子として、ドロー理論から打ち方、ラウンド中の対応、理想の球筋まで語りたいと思います。

ドローボールとはドローイング、すなわちボールが弧を描くことから、そう言われています。ゆえにクラブが当たった瞬間、ボールはやや右方向に飛び、それから弧を描いて左に飛ぶというわけです。つまり出だしが真っすぐで、それから左に垂れる球筋はドローとは呼ばず、ストレートフックと言います。

後藤先生からは初心者用のドローボールの打ち方を教わりました。とはいえ内容はすごく難しいです。最初は野球の1塁ベース方向にボールを打ち、そこから手と体を返して左方向にボールを戻す。そんな練習をやらされました。どうやって右に飛び出たボールを左に返すか。手を合わせて「合掌」をし、両手をクラブに見立て素振りをします。


まず右手甲を下に向けてスウィング始動、インパクトで両手がボールに当たる感じですか。そこから今度は右手甲が上を向くように返す。この素振り、私は「ぺったんぺったんの手焼き煎餅打ち」と呼んでいましたが、それを何百回もやらされました。手だけで返すと極端なフックになる。ボディで返すのが大事、そのコツをつかむのが難しいです。

こんなんでドローボールが打てるのかと疑問を感じつつも、ボールは極端なフックから、次第にボールがつかまるようになったかな。慣れてくると野球のセカンドのポジションを狙って打ち、やがて綺麗なドローボールが打てるようになりました。けれど実戦ではまだミスのほうが多いですけどね。

昔、後藤先生とトーナメントを観戦しに行きました。当時、先生のオーラは半端なく、当時のジャンボ軍団がみんな挨拶してくる。どう見ても怖い系の人です。ほどなく以前教えていた鈴木亨プロが現れ、目の前でショットをする。綺麗なパワーフェードを打つので、「彼はドローじゃないですね」と恐る恐る聞く。すると「うん、試合はフェードがいい。ドローより確実だ」って訳が分かりません。ドローの構えでフェードを打つ謎の理論があって、リー・トレビノが実践者と言ってましたけど、チンプンカンプンです。

こうやって後藤先生に突っ込んだのは、連載当初に先生を「平成の丹下段平」とイジってからです。周りは震え上がったけど、先生は笑い飛ばし「キミは面白いこと書くね」とイジって良しの許可を得ました。当時は後藤先生に突っ込む人が現れたと話題になりました。先生の受け売り記事じゃ面白くないでしょ。その攻めぎ合いが楽しかったです。

アマチュアが楽にドローを打つには……?

そんなある日、私のドライバーを見て「なんだ、このフックフェースは、これなら勝手にドローがかかるじゃないか」とあんぐり。

結果的にアマチュアは、フックフェースのクラブでドローを打っても良いと。

今でもフックフェースで、ドローボールを楽に打っています。実際、アマチュアで綺麗なドローボールが打てる人は少ないと思います。それはドローボールを打とうとすると、ハードスペックのギアを使いたがるからです。そうじゃないですよ~、現在のエースドライバーは吊るしのヤマハの『インプレス ドライブスター』、ホームコース扶桑CCにはマグレガーの『マックテック』を置いてます。

メーカーさんが、アマチュア向けにボールをつかまえやすいクラブを作っているんです。それなのにみんな難しいほうに行っちゃっている。

さらに後藤先生が言うには、アマチュアは球筋を打ち分けなくても良い、と。その日出た球筋で勝負しろ、と。コースは多彩なショットを要求してくるけれど、それは設計者の罠だ。ドローとフェードを打ち分けていると、だんだんスウィングが乱れてくる。弾道の打ち分けはアマチュアがやってはいけないことだ、と。

そこでさっきの鈴木亨プロのパワーフェード最強説に戻るわけです。結局不安定なドローで飛距離自慢するよりも、安定したフェードがスコアメイクをするうえでは一番強いとなります。

個人的には調子にもよりますがドロー半分、残りはドロー崩れのフェードです。結果的に良いあんばいでラウンドできていますね。

教える人/木村和久

「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー

週刊ゴルフダイジェスト2025年6月3日号より