Myゴルフダイジェスト

会員登録
  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.7「“転がしの術”をマスターしよう!」

【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.7「“転がしの術”をマスターしよう!」

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら

  • 飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。 ILLUST/Shinichi Hoshi >>前回のお話はこちら ゴルフは最終的に、アプローチが鍵になると言われています。関東にはショートコースがたくさんあります。以前……

アプローチはウェッジでボールを上げることが多いですが、アマチュアはトップやザックリ、シャンクなどミスをすることも。ライや傾斜を見て、転がしが良いと判断したなら迷わず転がすべきです。転がしはカッコが悪く、ボールを上げられないアマチュアの技と言う人もいます。決してそうではありません。全英オープンでは難しいライが多く、転がしている選手をよく見かけます。

転がしの使用クラブは基本9番アイアンから7番アイアンぐらいで、パターのような“スライド打ち”をします。転がすならチッパーが簡単と言われますが、難易度はどっこいかな。チッパーはある程度練習しないとトップをしたり、方向がズレたり、距離感をつかみづらいです。自分も持っていましたが、今はアイアンでの転がしに絞りました。チッパーを入れると本数が増えます。アイアンならショットと転がしの兼用ができます。1本2役はすこぶる重宝です。

というのも飛び系アイアンの登場でロフトが立ち、スライド打ちが簡単になりました。加えてPWの転がしも容易です。今やチッパーで打つほうが難易度は高いかも。個人的にはそう認識しています。

打ち方ですが、ウェッジをパターと思って『スライド』させてください。力加減はボールの「出し方」によります。つまりラフを飛び越えるのか、あるいはベタなゴロにするのかにより、打つ強さが違ってきます。手前のラフを飛び越えさせるなら少し強く入れるとかね。


上達方法はコースのアプローチ練習場で反復練習あるのみです。さらに近所のドライビングレンジでも、9番や7番アイアンで30~50ヤードの転がし打ちをします。周りから見たら何をやっているのか、と不思議がると思いますが、距離感を養うためには実際に打つしかないのです。

練習場では足元にある硬いマットでも数球打ちます。ベアグラウンドを想定してですね。転がし打ちで距離を出すときに、早打ちしてボールの軌道が曲がることがよくあります。スライド打ちも、ゆっくりクラブを引かないとですね。

あとパターの転がし技も練習しておくほうが良いと思います。フェアウェイの順目の芝で寄せるなら、パターでも十分転がせます。自分は最大40ヤードまでパターで転がせます。それも実際に打ってみて距離感をつかんでおかないと。

ショットをするか、転がしをするかは状況次第です。自分が好きな距離、たとえば残り30ヤードで、ボールはフェアウェイの順目の芝にあり状態も良し。寄せワンチャンス、と思えばボールを高く上げます。少しでも不安材料があれば転がします。結果的にハーフで2~3回は転がしをしていますか。

さまざまな状況で
転がしを試してみたい

ほかにも、転がしが便利と思えるのが、砲台グリーン近辺のこぼれ球です。つまり左足上がりのライをウェッジで打つとザックリやトップをしがち。ボールは上がりやすいからと、余計なことを考えてしまう。実は転がしが安全です。

一方グリーン周りで、マウンドの下り傾斜にボールがつかまる場合もあります。左足下がりのライは、ボールを上げなきゃ、とSWを開いて打とうとするじゃないですか。これも転がしが効果的だと思います。まさかここで転がしと思いますが、案外イケます。

そのほか転がしは、林にボールが入ったときにも役立ちます。林の中はライが悪い。7番アイアンあたりで転がしたほうがミスの確率が少ないです。この時、日頃の「50ヤードスライド打ち」の練習が役に立つというわけです。

また樹木の近辺でスタイミーになり、木の下を転がす場合。これも同様にスライド打ちして、低い球でいきます。さらにグリーン周りでアゴの低いバンカーも、転がしで脱出。この前、小雨が降るなかゴルフをし、バンカーの砂が締まっていました。これはホームランかざっくりの可能性が高い。アゴも低かったので試しに9番アイアンで転がしたら、見事にナイスオン。というわけでシニアになってから、転がしアプローチをする回数が増加しました。

他のアマチュアのプレーを見ていて「ここは転がしだろ」と思っていると、半分くらいは上げようとしてミスしていますからね。アマチュアの難しいライからの成功率は、かなり低いのです。

転がしは“寄せワン”の確率は低いですが、かなりの確率で“寄せツー”のボギーが取れます。地味に転がしてボギーを取りつつ、パーチャンスをうまく生かす。さすれば80台が見えてきますよ。

教える人/木村和久

「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー

週刊ゴルフダイジェスト2025年5月6日号より