【ゴルフせんとや生まれけむ】水谷加奈<後編>「“捨てられていたチッパー”が私のいちばん大事なクラブです」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続きアナウンサーの水谷加奈氏。
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- ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、アナウンサーの水谷加奈氏。 文化放送に入社してすぐに担当したのが伊東四朗さんの「あっぱれ土曜ワイド」という番組でした。今から30年以上も前ですけど、その番組のスタッフがみんなゴルフ大好きで、しょっちゅうラウンドに行っていたんですね。バブルの……
ゴルフに一番ハマってやっていた20代から30代の頃、寝ているときにゴルフの夢をけっこう見ましたね。それも楽しい夢じゃなくてなぜか怖い夢ばっかりなんです。
ラウンド中に上司から連絡があって「水谷、お前何やってんだよ。今日、昼ニュースの担当だぞ」って怒られて慌ててカートに乗って会社に行こうとするんです。でも、進めども進めども会社にたどり着けない。そんな夢。怖いでしょう? そんな夢を見ると、目覚めたときにはぐったりしていましたよ(笑)。
前回、私はスコアには一切こだわらないというお話をしましたが、クラブへのこだわりもあまりないんです。最後にギアを買ったのはもう7、8年前になるかな。各メーカーから最新テクノロジーを搭載した、やさしいクラブが次々と出ているのはもちろん知っていますが、正直、あんまり関心が持てなくて……ごめんなさい。ただ、そんな私がすごく大事にしているクラブが1本あります。10年以上も前、当時一人暮らししていた目黒のマンションのゴミ捨て場で拾ったチッパーです。これがすごく自分には合っているようで、グリーン周りでちょっとボールを上げたいときなどにいい仕事をしてくれて大ケガを防いでくれるんですよ。そういう意味で一番好きなクラブかもしれないですね。
プライベートのゴルフだと女性は短いパットの際「OK」と言われることがけっこうあるじゃないですか。私は自他ともに認める下手くそですけど(笑)、性格的にOKされるのはイヤなんですよ。負けず嫌いとか女性をなめるなとかいう意味じゃなくて、最後までちゃんとプレーして「カコーン」っていうボールがカップに入る音を聞きたいんです。でも、実際はOKって言われているのに続けちゃうと「失礼かな」と思って「ありがとうございます」と言いますが、本当はそんな気持ちなんです。
最近、よく軽井沢に行くんです。北軽井沢に200ヤードくらいの打ちっ放しと90ヤードぐらいの6ホールのショートコースがあって、そこを1人で回るのがとても楽しいんです。
200ヤードの打ちっ放しは浅間山に向かって打つので、ナイスショットするとホントに気持ちいい。なかなか出ないんですけどね(笑)。ここはほかにはあまり人が来なくて、たいてい空いているので、ミスした際もう1回打ったりしても大丈夫。適度な運動にもなるし、「老後はこれかな」と思いながら楽しんでいます。
同じような方は多いと思いますが、仕事ではどうしても人に気を使わなくちゃいけないでしょう。それでゴルフでまで人に気を使っていると疲れませんか。あと、ティーショットを打とうとしたら次の組が来て焦らされるとか、プレッシャーをかけられるとかも苦手なので、誰のことも気にせず自分が好きなようにプレーしてみたいです。だから、私の究極の夢は普通のコースでほかには誰もおらず私1人、自分のペースで回るということ。プレーもさることながら景色のいいコースならそれも独り占めできるんですから贅沢ですよね。一度でいいからやってみたいですね。

水谷 加奈
みずたに・かな。東京都目黒区生まれ。立教大卒業後、90年に文化放送にアナウンサーとして入社。多くのバラエティ番組、情報番組のパーソナリティを務める。「誠実に楽しく健やかに」がモットー。ベストスコア102
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月15日号より