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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.164「失敗するのは“一度に2つ以上のことを”やろうとするとき」

KEYWORD 二宮慎堂

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

>>前回のお話はこちら

テレビを見つつスマホで検索する。

リモート会議に出席しつつラインをする。

忙しい現代人は複数の作業を同時進行するのが、当たり前となっている。でも、本来人間の脳は一度にひとつのことしか注意できないらしいよ。一見するとふたつ以上の作業を器用にこなしているように見えるんだけど、実は速度が遅かったり、ミスが出やすかったりするらしい。

よく、わかる。一度にひとつのことしか注意できない、というのはゴルフでよく実感するからね。

めっちゃ受けている砲台グリーンの手前にアゴの高いバンカーがあるとしよう。このとき多くのゴルファーは、バンカーを避けつつ、ピン奥にもつけないように打とうとする。でもさ、思い返してみて。このケース、うまくいったことある? おそらく、そう多くはないだろう。


うまくいかない原因は「~しつつ」なんじゃないかな。やっぱり、人間は一度にふたつ以上のことを成し遂げるのが苦手なんだと思う。

なので、こういうときは、「バンカーに入れない」か「奥につけない」、どちらかひとつを選択し、意識を集中させるのが〇。もし、「バンカーに入れない」を選んだら、奥につけて3パットでもよし。「奥につけない」を選んだら、手前のカラーでもよし。どっちつかずで、バンカーに入れて大叩きより100倍まし。そう考えるのが正解だと、ボクは思う。ゴルフでは「どっちつかず」というのが一番よくない。

パターでも、わざわざ後ろからラインを読んで「この辺かな」と決めたのに、いざ構えてみると「いやっ? もうちょっと切れるかな……」と思うことあるよね。そうすると、やっぱり、どっちつかずの打ち方になっちゃうんだよね。1回の「いやっ?」で入る確率は50%に減少。2回の「いやっ?」で25%に減少……それ以上は言わずもがな。「いやっ?」が増えれば増えるほど、入る確率が低くなる、というのがボクの肌感覚。もちろん、迷う気持ちはわかるけど、それを制御し、ぜひとも「ココ」と思ったら、初志貫徹を目指してほしい。だいたい、最初の見立てが正しいケースが多いしね。

「高い球を打って、グリーンをオーバーしないように、でも手前のバンカーには入れたくない……」なんてたくさんのことを一度にやろうとするのは失敗の原因

ゴルフではよく「1打を大切に」って言うけど、それってボクの解釈では「決めたところに打つ」ってこと。大切にというと、どうしても「いやっ?」が増えてしまうので、こうと決めたら一球入魂! そういう捉え方のほうが、いい結果につながるんじゃないかな。

スウィングもそう。パッティングのストロークもそう。練習場で、試行錯誤するのはいいけど、コースではご法度。コースは練習場ではなく、スコアを出すところだからね。

朝イチでスライスが出ても、迷わない。その日はそれで戦う。パターでひっかけを連発しても、途中でアドレスや打ち方を変えちゃダメ。変えるなら、せいぜい球の位置を微調整するくらいかな。

次のゴルフはこれを胸にプレーしてみて。きっと気持ちよくプレーできるはずだよ。


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+2。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2020年8月4日号より