【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.219「安全策」のマネジメントは必要か

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
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- 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Tadashi Anezaki >>前回のお話はこちら 3月に入り女子ツアーが開幕、男子ツアーの開幕は1カ月後ですが、いよいよ日本のツアーもシーズンインを迎えます。この日を迎えるにあたって、プロたちは……
マネジメントで大事ことは何ですかとアマチュアの人から聞かれますが、答えは、自分の気持ちです。
自分が行きたかったら行ったらいいし、行きたなかったら行かなければいいんです。なんやええ加減なこと言うとると思うかもしれませんが、アマチュアの人にとってはそれが1番大事なことです。
マネジメントというと、スコアを叩かないための「安全策」のことや思う人が多いんやないでしょうか。トーナメントでプロが池の手前に刻んで打ったり、右ピンに対してセンターをセーフティーに狙ったりするとマネジメントに徹した攻め方やと言われたりするので、そう思うんかもしれないです。
マネジメントいうんは、遊びでやってるときと試合のときとでは違います。プロの場合は試合で稼がんとあかんわけですから、他の選手よりもよいスコアを出すこと考えたら「安全策」のマネジメントも必要で、そのために練習ラウンドでいろいろ試すわけですよ。
でも、一般のアマチュアの方の場合は、遊びのラウンドなら、どれだけ楽しいゴルフができるかが目的で、最少スコアで上がるためにやるわけやから、「安全策」のマネジメントなんか必要ありますか。
右サイドがOBで大叩きする人にマネジメントとか言うとるけど、それはスライスを直すほうが先で、マネジメントの話ではないんです。コースでのマネジメントはパッと直感で、何よりも自分の思いを優先し、行きたかったら行ったほうがいいんです。
池の手前に刻んだほうがいいんか、でもひょっとしたら超えるかもしれんけどと迷ったら、そのときはもう自分が決めたらええんです。決して世間が言う王道みたいなもんに合わさんようにすることです。
「ひょっとしたら越えるかも」と直感で思ったいうんなら、そのときがまさにブレークスルーで、池を越えるほどに飛距離が伸びておる瞬間かもしれないんですから。ラウンドの少ないアマチュアは、そういったことが起こり得るわけやから、自分の直感を信じたほうがええんです。
なにより、やらないことには自信は生まれてこないことってありますから。

「直感を信じて行ってみることも必要。ブレークスルーになるやもしれません」

奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月1日号より