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プロツアーでの“ビデオ判定”。ルール違反の判断基準は?

テレビ映像でルール違反が発覚した場合の処置、2例を紹介しよう。

まずは富士フイルム・スタジオアリス女子オープンでの上田桃子のケース。初日、1番2打目、上田の球はカート道路へ。規則16.1bに基づき救済を受け、球をドロップした。しかし、テレビ視聴者から「右足がカート道路にかかったままストロークしたのでは」と指摘された。競技委員会が映像を確認すると、その通りで、上田自身はまったく気づいていないと判断された。

上田のどこが違反だったのか? 規則16.1b〈ジェネラルエリアの球に対する救済〉を要約すると。「プレーヤーの球がコース上の異常な状態による障害がある場合、救済エリアに球をドロップして罰なしの救済を受けることができる」とある。その方法として「ニヤレストポイントを基点としてそこから1クラブレングス以内で、基点よりホールに近づかない位置にドロップすることができる」。それは「異常なコース状態によるすべての障害からの完全な救済でなければならない」。つまり上田はまだ障害が残っている状態でストロークしているので、完全救済となっておらず、「誤所からのプレー」として2打罰が科せられたというわけだ。

すでに上田はペナルティを含めずにスコアカードを提出していたが、規則3.3b(3)例外「プレーヤーがスコアカードを提出する前に罰を受けたことを知らない場合は失格とはならない」処置となった。

手痛いミスで初日79と出遅れるも、2日目72で予選を通過(PHOTO/Shinji Osawa)

もう1例はマスターズ初日、松山英樹と同組だったエイブラハム・アンサーだ。ホールアウト後に15番ホールのバンカーショット直前、クラブが砂に触れていたことが発覚し2打罰が科された。違反はアンサーがアテストを終えた後、映像を確認して判明した。上田の例と同じテレビ映像からの発覚であるが、この件について、ルールではどう規定されているのだろうか。

頻発する映像でのルール違反発覚により、2019年のルール改正で、以下のような規則が生まれた。20.2c〈ビデオの証拠を使用する場合に適用する「肉眼」基準〉。「委員会が裁定を行うときに事実問題を決定する場合、ビデオの証拠の使用は「肉眼」基準によって制限される」。「ビデオに映る事実が肉眼で合理的に見ることができない場合、その証拠が規則違反を示したとしても採用しない」

上田の場合は肉眼でも違反は明らか。アンセルの場合は委員会が「砂を触ったことは肉眼でもわかる」と判断したためだ。「もしそうでない場合、映像証拠は採用されずペナルティも科されなかった」と発表。あくまで「肉眼」基準だったと強調している。

週刊ゴルフダイジェスト2021年5月4日号より