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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.214「打つ前の“一振り”に意味はない?」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tadashi Anezaki

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  • 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Masaaki Nishimoto >>前回のお話はこちら 最近、ラウンド後にスマホをいじる人をよく見かけます。ナニやっとんのかなと思って見てると、アプリにその日のスコアやパット数なんかを入れて、出てきた……

この前、曲打ちのイベントに岩手県から来られた女性の方からお聞きした話です。

その人は、ボランティアで女子ツアーに行ったときに、選手のティーショットの所要時間とフェアウェイキープ率の関係を調べたらしいんです。それでルーティンが長くて時間がかかる選手と、めちゃくちゃ早い選手とを比べたら、フェアウェイキープ率はほぼ同じやったそうです。

どこかに、ルーティンに時間をかける丁寧さがショットの正確性に繋がるいうイメージがあるんかもしれませんが、関係なかったいうことですわ。そして、スコアがよかったんは、圧倒的にプレーが早い選手のほうが多かったそうです。

歩測や素振りなどのルーティンの短縮と簡素化を提唱する側にとっては、我が意を得たりの報告です。でもそう偉そうなことは言えません、僕なんかまだまだやなと思わされることが最近あったんです。


僕は打つ前に、ヘッドを感じようと思うてサッと素振りをやって、それでアドレスに入ります。でも、この“一振り”が何の意味もないいうことが最近分かったんです。

というのも、ヘッドを素振りで感じ取ったって、本チャンのときに感じられなければ何の意味もないんちゃうかなと、ふと思ったんです。それで師匠の高松志門さんに聞きました。

「先生、こうやってヘッドを感じようと思ってやってますねん。でも当たりません」と言うたら、「それは、思いが足らんのや。ヘッドと自分が一個になってないんや。ほかのことが頭にあるんやろ」と言われました。そこで、「だけど素振りでこういくでしょ」と素振りをしようとすると、「そら素振りやろ。そんなもんで何千回感じたかて、本番で感じられんかったら終わりやぞ」とあっさり言われました。

要するに、ヘッドの重さを感じるためのサッという素振りでさえ意味のないことやということ。癖なんですわ。

師匠は「癖は風呂場の菌の百倍強いぞ」と言うとります。こうなったらルーティンもより短く、一回、プルッとケツを振るくらいにせなあかんかと思います。

まあそこまでせんでも、儀式化したルーティンはできるだけ省いたほうがいいという話です。

「素振りがただの“癖”になっておる方は多いんやないかと思うんです」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年2月18日号より