【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.146 真似するなら、きれいなスウィングより「変則スウィング」!
家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!
ILLUST/Masaaki Takauji
ボクの特技は完コピである。といっても、アイドルグループのダンスじゃない(笑)。もちろんスウィングの完コピだ。プロアマ問わず、1度見ればアドレス、グリップ、動きの癖や特徴が頭に入る。
完コピして思うのは、スウィングは十人十色であるということ。見るだけでもそう思うが、実際動いてみるとさらに実感する。ときどき、自分では想像できないスウィングパターンに出会うこともあり、結構勉強になる。
友人のめっちゃ変則スウィングを完コピしたときも、ほぅ、そうくるか! と思った。彼は雑誌でよく見「バツ」写真の典型で、一見、まったく上手に見えない。しかし、実はプラスハンディ。ヘッドは途中、まったくあり得ないところを通過するのだが、ちゃんとインパクトはスクェアに当たるから不思議。
また、完コピすると、その人の意志というか、やりたいことがわかるのも面白い。ダスティン・ジョンソンのトップの位置は、なにがなんでもハンドファーストでインパクトしたいという意志の表れであることも、完コピしてみるとよくわかる。
そういう意味で、綺麗なスウィングは面白くない。というか、そもそも、特徴がないので似ないのだ。似顔絵も整った顔より、味のある顔のほうが「そっくり~」ってなるでしょ。そんな感じ。だから、完コピ職人のボクとしては、変則スウィングのほうが断然好みである。
ただ、普通の人は、カッコいいスウィングを目指したいと思うよね。雑誌でもよく「カッコいいスウィングを目指そう!」みたいな企画があるもんね。お手本はローリー・マキロイやアダム・スコット。う~ん、ボクが編集長なら、その企画はボツだな(笑)。理由は、前述したように、整ったスウィングは真似するのが難しい。従って、似せようとすればするほど、おかしくなるのが目に見えるからだ。
それなら「変則スウィングを完コピしてみよう!」という企画のほうが100倍参考になると思う。お手本はダスティン・ジョンソンやバッバ・ワトソン、マシュー・ウルフあたり。もちろん、それらをコピーして自分のものにしよう、という趣旨ではない。狙いは、変則スウィングでも、理にかなったパターンもあることに気づいてもらうこと。ボクが昔、アニカ・ソレンスタムのスウィングを完コピしたときのように。
彼女はハンドレートだし、ひょいっとクラブを上げるし、切り返しがめっちゃ速いし、ルックアップだし……かなりの変則っぷりだけど、完コピしてみると、すごく体に負担がなくスムーズに動けることがわかった。以来、ボクはアニカを尊敬するようになった。
というわけで、クセはあって当たり前。アマチュアならなおさらだ。もちろん改善したほうがいいクセもあるけど、そのままでいいクセもある。
それを見極める意味でも、完コピするなら綺麗なスウィングより変則スウィング! なんなら、前出の友人を紹介しましょうか(笑)?
全員がチャンピオン! 二宮家
週刊ゴルフダイジェスト2020年3月17日号より