【ゴルフせんとや生まれけむ】青木美保<後編>「クラブを替えた最初のラウンドで68! “ゾーン”に入っていた感覚です」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き演歌歌手の青木美保氏。
ゴルフを始めたのは35年くらい前、両親の勧めです。「親子で楽しめるから」と誘われ、ハーフセットを揃えました。まだパーシモンでしたけど(笑)。それから何年かして、もう東京で歌手になっていた頃ですが、お正月に放送される芸能人のチャリティゴルフ大会に参加することになりました。
収録は北島三郎さんの誕生日に行われるんですが、私、初参加で120ぐらい叩いたんです。せっかく出させてもらったのにこれじゃダメだと一念発起して近所の練習場でレッスンを受けるようになりました。2年目は、里見浩太朗さん、田中健さんの組で回り、スコア105くらいでハンディがあったので女子の部で優勝。
そのとき、練習は実るものだと気付きました。そこからどんどんゴルフが面白くなって、練習も重ねて、30代前半ぐらいのときは絶好調。ドライバーも200ヤードは飛んでいて。すると男性陣がレディスティーはズルイと言い出し(笑)、男性と同じティーから回りだした際、パー4の2打目でグリーンがとらえられなくなったので、今度はアプローチを徹底的に磨きました。
80が切れるようになったのはその頃です。でも、その後、2000年頃から約10年間、けいれん性発声障害という病気に悩まされ、歌うことができなくなったんです。
気力もなくなり、5年間はまったくクラブを握らなかった。病気が良くなって、ゴルフも再開したのですが、再開初ラウンドは120くらい。100ヤードをワンオンできなくなってしまって、ゴルフがつまらないこと(笑)。再度練習を始めて、落ちた飛距離を補おうと、薦められたキャロウェイのエピックスターを新たに揃えました。で、エピックでの初ラウンドで「68」が出ました。ビギナーズラックみたいな感じもあったし、周囲が何も気にならず、すべてが噛み合う“ゾーン”みたいなのに入っていたと思います。
クラブ選択にも迷いがないし、構えたらサッと打つだけ。69は何回か出していますが、68はその1回だけです。上達のコツは、信じること(笑)。私は教わったことは信じてやり通すタイプで、ゴルフではそれがスコアにつながりました。あと、一定のリズムで打つことを心がけています。一定のリズムを刻むことで、適度な「間」も生まれてくると思うんです。「リズム」と「間」、歌と共通する大切なことなのかなと思います。
私は今年、デビュー40周年を迎えましたが、ゴルフは目の前の1打に集中するとか、終わったことは忘れるとか、窮地があるからチャンスが来るとか、人生と通じることが多いと感じるようになりました。ささいなことに一喜一憂しないとか、気付きの積み重ねで成長する、とかも。
話がまた「オーイ! とんぼ」に戻りますが、45巻でとんぼちゃんがプロの試合で優勝したとき、「大輪の花を咲かせてみせましたあ」というアナウンスが入りますよね。実は八代亜紀さんが作詩してくださった新曲のタイトルが「大輪の花〜第二章〜」なんです。そもそも、とんぼちゃんに自分を重ねながら読んでいたので、これには鳥肌が立ちました。今秋のオンエアも楽しみです。
青木 美保
あおき・みほ。演歌歌手。熊本市出身。中学卒業後に単身上京し、五木ひろしにスカウトされてデビュー。8月21日、八代亜紀作詩「大輪の花~第二章~」をリリース。ベストスコアは68
週刊ゴルフダイジェスト2024年10月29日号より