【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.189「コーチか、お寺か」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
昔はゴルフを教えてもらうのは師匠や先生で、師弟関係とかそういう言われ方をしていたけど、今はコーチです。
だから自分に合った人、というかピンとくる人で、長さにもよりますが、師弟関係というより契約関係になるんかもしれません。
まずちょっとやってみて、感覚的によかったら1カ月でもその教えを続けてみる。それで、「今、なんとか当たるようにしてくれ」とか、「部分的にいじって一時しのげるようにしてほしい」とか、そういったマイナーチェンジくらいやったら、それほど時間はかからんでしょうし、短期間でコーチを代えるなんてことも普通にできますからね。
でも、ゴルフをよくしたいとか、本体から変えよう思うたら半年はかかります。プロでもそれくらいかかるいうことです。
海外の試合に挑戦しようという選手なんかだと、ゴルフの本体を変えるということは、ショートゲームなんかも関わってくるので、これは芝の違いとか土壌の硬さとかがあるやないですか。環境に適応せなあかんので、アプローチは打ち方をいくら変えてもそれでよしということにはなりませんからね。
日本で練習をして、アメリカのあのねちっこい芝でやれ言われても、予選落ちしますよ。そらもう絶対にその土地の芝で練習せなあかんです。
でもロングショットの場合、特にティーアップした球を打つドライバーなんかは、パフォーマンスを発揮する環境はある程度共通しています。だからゴルフをよくするいうたときに、スウィングを改善するのか、それとも臨機応変にできる状態を作っていくのか、そういうところをしっかり分けて考える見極めができないといかんわけですから、コーチの見識というか先を見る目は重要になります。
コーチとの出会いがないのなら、寺で坊さんとこ行ったらなんかわかるかもしれんですわ。僕もそう思うて、オフに座禅を組みに行ったら、その年は2回優勝してランキング7位やったことがあります。やっぱりお寺やなと思ってね。坊さんにゴルフを習ったわけではないんですけれどね。
「マイナーチェンジが目的でも、本体から変えるためでも、自分に合ったコーチと出会えるかどうかです」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2024年8月13日号より