【ゴルフせんとや生まれけむ】DEEN 池森秀一<前編>「二度やめたのにハマっているワケ」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、ロックバンド「DEEN」のボーカリスト池森秀一氏。
自分で言うのも何ですが、今、僕のゴルフ愛はとんでもないことになっています(笑)。でも、そんな僕でもこれまでに2回、「ゴルフはもう二度とやらない」と思ったことがあるんです。
1回目は20歳くらいの頃。ミュージシャンの先輩に突然「ゴルフに行くぞ」と誘われて。もともと野球をやっていたから何とかなるだろうと、クラブを借りて初めてゴルフ場に行ったんですよ。その時は120くらいで回れたから、その後、もう1回行ったんです。そしたら今度は150くらい叩いてしまって。ゴルフの難しさを思い知らされ「向いてないのかなあ」と。
プロのミュージシャンになるという目標に向けて頑張っていた時期だったので「これはハマっちゃう」という予感もして「今は、ゴルフの練習より音楽の練習だろ」と自分に言い聞かせてすっぱりやめました。
2回目はプロデビュー後の27歳くらいの時。当時、大先輩の梅宮辰夫さんが漬物の後にコロッケの店をやっていらっしゃったんですが、うちの事務所の社長がそのコロッケ店とつながりがあったんですね。その際「確か、ゴルフできたよな」という感じで、そのお店のコンペに駆り出されました。クラブを握るのは約7年ぶり。練習もせずに行ったら、まずドライバーショットをティーイングエリアにあったゴルフボール形の灰皿に当てました。それからも焦ってミスを連発。一緒に回った人が70台で回る上手な方で、しかも、僕のことを「DEEN」だって知っているから、すごく気を使ってくれているのがわかるんですよ。申し訳ないのと恥ずかしさで「ゴルフはもう二度とやりません」と、はっきり社長に言いました。
ところが、それから20年経った47歳の時、47都道府県ツアーというのをやって最後が沖縄だったんですね。それで長かったツアーが終わった後「DEEN」のトレーナーが僕を慰労しようと思ったのか「秀一さん、米軍基地のゴルフ場でやりましょうよ。紹介者がいればできますから。人が少ないからゆっくり回れますよ」って言うんですよ。ゴルフはもうやらないと誓った僕でしたが、せっかくのお誘いなので1回だけやろうか、と。すると、20年ぶりなのに120台で回れて、しかも他の組を待つことも待たせることもなく、ストレスフリーですごく楽しかった。「やっぱりゴルフ好きかも」と考えだしたら、居ても立ってもいられなくなって。もともと凝り性なので、東京に帰ってきてからは「やるからには70台を目指そう、それも1年で」となり、ゴルフ漬けの毎日に。ひたすら練習に励みました。
僕は芸能界で仕事をしていることもあり、ありがたいことにゴルフのプロと知り合う機会もあります。まずは三觜喜一プロに基本をしっかり教えてもらって、週2回ペースでラウンドしていたら100はあっという間に切れました。そこから先は大変で、90を切るのに3年かかりました。ベストスコアの79が出たのは2度目の再開をしてから5年。「1年で70台」なんてとんでもなかった。ゴルフはそんなに甘くなかったです。
池森 秀一
北海道生まれ。93年、ロックバンド「DEEN」のボーカリストとしてメジャーデビュー、数々のヒットを記録する。大のそば好きとしても知られ、ゴルフ場でそばを頼んでも頼まなくても周囲にニヤリとされてしまう。6/12にデビュー30周年記念の完全限定生産プレミアム盤「DEEN The Best DX -Premium Live Complete-」をリリース。ベストスコア79
週刊ゴルフダイジェスト2024年7月9日号より