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PGAツアーでは当たり前。ショットとパットでコーチを分けるべき理由とは?

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、最先端のゴルフ理論について語る当連載。第32回はPGAツアーの練習現場で使用されている計測器についての話から、話題はコーチングの“分業”の話へ。

GD デシャンボーはパッティングのときにGCクワッド(※1)を使って計測していますね。

黒宮 デシャンボーは、クインテック(※2)を使っていませんでしたか。

目澤 いや、GCクワッドでした。自分で練習をしているときはクインテックなんじゃないかな。ザンダー(シャウフェレ)のコーチもクインテックを使ってますよね。

GD PGAツアーではそういった機器を練習場に持ち込むのが、当たり前ということですか。

黒宮 クインテックは10年前からありますからね。

目澤 最近、橋本コーチ(※3)がクインテックを買ったので、僕も一緒に使わせてもらいたかったんですが、アメリカに行くことになったので、まだ使っていないんですけどね。

黒宮 クインテックは10年前からあると言いましたけど、その10年間のデータを見させてもらえるのが大きいんです。パターのどの部分でヒットしたらギア効果がこう変わるとか、ボールの回転がこうなるとかいうのがあって。なかでも面白かったのが、フェース寄りに重量を持ってきたときにはアドロフト(※4)して当たると書いてあったので、へぇ〜って驚きましたね。そこで思ったのが、ショットで振り遅れる場合に、ドライバーのフェース面側に充填剤を入れて対処することってあるじゃないですか。ショットとパットでは振るスピードも違うけど、充填剤をフェース面に入れてアドロフトするのなら、パットでも、よりフェースが振り遅れないようにできるのかなと思ったんですよね。

GD こういった解析機器は、レッスンの現場でどういった使い方が考えられるのでしょうか。

黒宮 プロの場合、技術的にコレだけは譲れないというものを持っています。反面、コーチがそこは譲ってもらわないと無理だということがあった場合、ギア効果などで何とかできないかなと考えるわけです。例えば、パターのトウでヒットしないとフィーリングが出ないという選手もいるわけです。その場合は、インパクトのギア効果で反転させてあげることで芯に近いボールの打ち出しが作れないかと考えるんです。トウ、ヒールの各フェース側、トウ、ヒールの各バックフェース側の4つのポイントで重さを変えたときに、どういうギア効果が働くかということを、過去のデータから参考にできるわけです。

GD 実際に利用したのですか。

黒宮 いや、どうやってデータを使っていいかまだわからない部分があるので、やっぱり橋本コーチと目澤くんと共同でやる感じですね。

GD 橋本さんはパッティング専門コーチですからね。ショットとパッティングは、分業したほうがいいという考えでしょうか。

目澤 分業したほうがいいですね。パッティングは動きが小さいし、メンタルが絡むケースが多いので。

GD それだけ専門性が高いわけですね。

目澤 高いですね。デービッド・オー(パット科学の研究者)のパッティングセミナーに行ったときに、行くところまで行っちゃったと、ちょっと後悔しましたから(笑)。

※1. GCクワッド(GCQuad)は、高精度でコンパクトな、弾道&ヘッド軌道の解析機器 ※2. クインテックボールロール(Quintec Ball Roll)は、パッティング時に転がるボールの動きをとらえて分析し、ボールがどのように回転したかを計測する機器 ※3. 橋本真和 「エンジョイゴルフスポーツ社」のスタッフにしてパッティング専門コーチとしても活動中 ※4. アドロフトはインパクトでヘッドがシャフトを追い越しロフト角が増える状態。ディロフトはロフト角が小さくなる状態

目澤秀憲
めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁
くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2021年4月6日号より