【ゴルフ野性塾】Vol.1829「フェースを開けば強迫感と力みが消える」
古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。
今日、5月30日。
午前10時32分。
窓の外は曇り。
気温23度。
今日も最高気温25度の予想。
樹木がベランダの中で随分と大きくなって来ている。
沖縄でシーサーを買った。
陶器だ。
明るいブルーの色と土色のシーサー、一対ずつ買った。
これがベランダの守り神になっている。
何も想わず、ああ形がいいなァと買い求めた物なれど、今になればいい置物だと思う。
意識せずに購入する、そういう事もいいものだなァという気がする。
沖縄は梅雨に入り、福岡が梅雨入りするのは1週間後か、2週間後か。
季節の移ろいは早い。
アドレス時、フェースを少し開け。
スタートホールでトップボールが出ます。ティーアップするドライバーはなんとか普通に打てますが、セカンドのアイアンでヘッドがボールに届かない感じで、ひどいときは球がまったく上がらずゴロになってしまいます。トップボールはだいたい2~3ホールで自然に直りますが、スタートの数ホールでいつも出鼻をくじかれてしまいます。この悪いクセはどうすれば直りますか。 (愛知県・高橋勇之・45歳・ゴルフ歴12年・HC23)
ゴルフ上達の手段は二つ。
一つは得意のクラブを作る事。
今一つはミスの出る原因の究明。
ミスのないゴルフを目指すか、いい球打てるゴルフを目指すかなれど、トッププロの領域に近付く程、そして一打での凌ぎ合いになる程にミスの出ないゴルフは必要となる。
一つのミスでダブルボギーは出るが、いい球打っても伸ばせるスコアは一打だけだからだ。
そりゃ、いい球打ってホールインワン、あるいは第二打を放り込んでのイーグルなんて話もあるが、そんないい球は年に一度ありゃいい話。
プロツアー、年間最多イーグル取得数は20個前後と思うが、どんなに多くのイーグルを取る者であっても4~5ラウンドに1個が限界。
それがいい球を打った後の結果である。
逆に池ポチャ、OB、寄せを失敗した後の3パット等は4~5ラウンドに1回とゆう回数ではない。
ツアー参戦している者であっても3ラウンドに一度はダボを打つ。
4~5ラウンドに1回と3ラウンドに1回の確率。
ならば3ラウンドに1回のミスの減少を目指した方がスコア伸ばし易いとゆう事になろう。
プロの力量の差はバーディ狙って行ってパーで終るか、バーディ狙って行ってボギー在りのゴルフになっているのかの差である。
プロであればバーディは取れる。
取れる分のボギーが出るゴルフでは勝てない。
それが現在のアメリカツアーの現状だ。
日本はバーディ取ってもボギー出すゴルフで勝てるがアメリカだとそうは行かない。
アメリカツアーのコース全長は長い。
芝生もコースそれぞれの癖を持つ。
グリーンの傾斜は複雑である。難度が違う。
その中でのバーディぶん取り合戦、そしてボギー叩かない丁寧ゴルフ合戦。
松山英樹を追ってアメリカを目指すは当然である。
やってて面白さが違う。賞金ではない。
選手層の違い、コース難度、新たなプレッシャーとの出会いがアメリカツアーには在る。
プロはいつ迄も同じプレッシャーの中で戦っていては進歩なしと思う。
異なるプレッシャーを経験する喜び、好奇心は何よりも大切なもの。
アメリカでやっているとその異なるプレッシャーとの出会いは多い。
テレビ朝日「世界名門コースの旅」で5年間、世界の名門コースを旅した。
全英オープン開催コースもゲーリー・プレーヤーと共に旅した。
当時、私は日本ツアー参戦の傍ら、この番組に出ていたが、コースから受けたプレッシャーは異質だった。
一緒にプレーするのはメジャーチャンピオン。
彼等のゴルフから受けるプレッシャーも日本ツアーとは異質だった。
力量が違い過ぎると思った。
プロでもゴルフのどこに喜びを覚えるかは人それぞれである。
私の持つ喜びは低過ぎた。
当時は分らなかった。
今は分る。
日本のプロゴルファー、欧米で戦った者以外で最もメジャープレーヤーと対戦した経験持つのは私と思う。
好奇心、怖いもの知らずでヨーロッパ、アメリカへ出掛けて行った。
負け数は覚えてないが三つは勝った。
コーリー・ペイビン、ラリー・マイズ、スコット・シンプソンに勝った。
番組が始まって前半期の対戦だった。
一番の大負けはマーク・オメーラとの対戦だった。
その後、負け続けてイヤになって行った。
そして番組は終った。
義務や義理が出たら勝負事は終ると思う。
打算や言い訳が出てもだ。
ミスが出てもすぐに取り返せば勝負の形になる程、アメリカツアーは甘くない。
低いレベルではない。
ミスの出た分、周りから遅れる。
ミス出した時点で終る。
それが松山の生きている領域である。
貴兄はまずはロフト慣れせねばならぬ。
グリーン狙うが為のアイアン持った時、そしてそのアイアンが7アイアンだった時、「今日の7アイアンのロフトは寝ているな」と思うか、「いつもより立っているぞ。このロフトだと上げ難い。トップするんじゃないか」と思うか、だ。
鹿沼の研修生時代、立っている、と感じる日は多かった。
上げに行った。
当然、ミスした。
力みが入っていた。
アドレスではほんの少しだけ開いて構えた。
そして打って行った。
ほんの少しである。
フェースの少しの開きが方向に然程(さほど)の影響を与える事はない。
球の位置もグリップ位置も体重位置もスウィングも変えない。
クラブフェースを少しだけ開いた。
それで上手く行った。
貴兄のスウィングに問題はない。
トップ球が出るとゆう強迫感が貴兄に力みと不安を与えているだけだ。
7アイアンを8アイアンに変えるのもいいが、8アイアンだと届かぬ距離だから、やっぱり力み生じよう。
ならば7アイアンのクラブフェースをほんの少し、開いて構えればよいのです。
これで解決する。距離落ちても5ヤード迄だ。
貴兄の癖は小さな勇気で直せる癖である。
雑炊の鍋にほんの一つまみ塩入れる様なものです。
お試しあれ。
坂田信弘
昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格
週刊ゴルフダイジェスト2024年6月11日号より
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