【ゴルフせんとや生まれけむ】 江上剛氏<後編>「飯能GCの18番が鬼門! 夢は理事長杯の“予選突破”です」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き、作家の江上剛氏。
女房の一言でゴルフを本気でやり始めた僕が、こんなにも熱くなってしまったのは2021年にテレビ東京で社長・会長をやっていた髙橋雄一さんに誘われて埼玉県の飯能GCに入会したからなんです。
飯能GCは名匠といわれた井上誠一さんの弟子・和泉一介さんがデザインした名コースです。平坦に見えてフェアウェイには微妙なアンジュレーションがあり、しかもグリーンは小さくて高速とあって、ほかのところでやれば80台が出るのに飯能だと平気で100を叩いちゃう。やればやるほど難しいコースなんです。僕はその難しさにすっかりハマりました。恥ずかしながら、去年1年で飯能だけで95回も行っています(笑)。
もちろん、ほかのコースに行くこともありますから、それを足すと120ラウンドくらいはしていることになりますね。しかも、飯能は練習場がすごくいい。あれほど充実しているところを僕は知りません。アプローチやバンカーもしっかり練習できるので、ラウンドはせずに1日中アプローチの練習だけをやりに来ている会員さんがいっぱいいるんですが、僕もその1人なんですよ。これじゃあ友人が「江上、お前、いつ仕事してんの?」と、あきれ顔で言うのも当然でしょうね(笑)。
こんな僕にとって鬼門となっているのが右に池のある名物ホールの18番。左が林でOBがすごく浅い。そこまではドライバーが真っすぐきれいに飛んでいたのに、なぜかここに来ると、決まってスライスが出て池にドボン。だいたいダボになって「何で幸せな気持ちで帰らせてくれないんだ」と思っちゃうわけです。ゴルフは、うまくいったことよりも失敗したことのほうをよく覚えているものですよね。
一緒に回る人も僕がよくここでミスするのを知っていて、内心では僕が池に入れるのを待っているみたいなんですよ(笑)。それも、1回だけならまだしも僕が2回3回と池ポチャを連発すると「江上さん、もういいよ、君が池に入れる姿を見ているとこっちまで悲しくなる」と言われる始末。ここを何とか攻略できるようにすることが今一番の課題ですね。
さて、最後にゴルフに関する僕の将来の夢についてお話ししましょう。それは飯能GCの理事長杯の予選を通ること。優勝じゃないですよ。そんな大それたことは少しも考えていなくて、あくまで予選突破です。理事長杯は予選を2ラウンドやってその後、本選に向かいます。今年は9月8日に予選ラウンドの1日目があって、上位64位までに入れれば15日の第2ラウンドに進めます。僕の目標はこの初日の64位以内。小さな目標と笑われるかもしれませんが、僕にとっては真剣なチャレンジなんです。これまで2回出ましたが、いずれも予選落ち。おそらく90を切れば可能性があると思うのですが、普段は80台で回れてもいざとなるとダメなんですよ。結局はメンタルの問題かな。でも、今年はまだ時間もあるので一生懸命練習して何とか夢を叶えたいと思っています。
江上剛
えがみ・ごう。作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。本部企画を経て、人事、広報、都内での支店長業務も。在社中に「非情銀行」で小説家としてデビュー。2003年退行後は「失格社員」「庶務行員 多加賀主水が許さない」「怪物商人」など数多くの作品を発表。近著は「小説ゴルフ人間図鑑」。ベストスコア86
週刊ゴルフダイジェスト2024年4月16日号より