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【名手の名言】尾崎将司「ゴルフで『これだ!』は絶対ないんだよ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は日本のプロトーナメント隆盛の礎を築いたジャンボ尾崎の言葉を2つご紹介!


ゴルフで「これだ!」は絶対ないんだよ。
せいぜいあっても
「これぐらいだろう」くらいでね

尾崎将司


この言葉は、ジャンボ尾崎が熊本の超人・植杉乾蔵氏(エージシュート1472回達成)と対談した時に発したもの。

ジャンボ自身、66歳の頃レギュラーツアーで62のスコアを叩き出し(2013年つるやオープン初日)、年齢より4打も少ないエージシュートを達成したあとの「超人対談」であった。

談論風発――。スウィング論になって、「バックスウィングの上げ方」を植杉氏が訊くと、ジャンボが「うーん、実は、正直いうといまだにバックスウィングの上げ方で『これだ』というのは感じたことがないんだよ」に続いて、表題の言葉へとつながる。

勝利数世界最多記録(113勝)を持つジャンボ尾崎でさえ、いまだにバックスウィングの上げ方に絶対の確信がないとは……。

ゴルフの奥深さがうかがえる言葉であろう。


このパッティングフォームを
石膏で固めてとっておきたいよ

尾崎将司


通算113勝、賞金王12回と空前絶後の成績を残しているジャンボだが、いま振り返ると途中深刻なスランプに陥っている。

賞金順位でみると、81年28位、82年16位、83年はちょっと盛り返し6位だが、84年は19位と沈む。

85年からは序々にランクをあげて98年までに第2次黄金時代を築くのだが、表題の言葉が発せられたのは不調まっただなかの82年、関東オープンに勝ったときだ。

ジャンボの言辞には当意即妙、表現力があり、ユーモアのセンスにあふれていて、マスコミも試合後のインタビューはいつも楽しみにしていた。見出しになる言辞をいつも発してくれたものだ。

スランプの自分を卑下して

「下向きの尾崎ではなく、ひたむきの尾崎をお見せします」

などとも言っていた。

この年、ずっとパッティングに悩み、やっと自分がしっくりするパットができ、優勝したあとの記者会見で、冒頭の言葉を吐いたのである。

どっと湧く記者たち。ジャンボ流のジョークだったが、300ヤード飛ばす男が、1メートルのパットに四苦八苦するゴルフの不可思議さの真理をも衝いていたからこそ、当時トーナメントを追っていた筆者の心にひっかかっていたといえる。

しかし考えてみると、ジャンボがこの大会に勝ったのはたったの6ヶ月ぶりで、それだけ勝たないことが、当時は試合のたびに「ニュース」になっていたのだから、その強さがどれだけだったか想像できるだろう。

■尾崎将司(1947年~)

1947年、徳島県に生まれる。幼年時から野球に熱中し、海南高では投手、4番バッターで選抜甲子園で優勝。卒業後プロ野球・西鉄ライオンズに入団するも、芽が出ず、プロゴルファーへ転身。70年プロテスト合格。そこから天賦の才能は花開き、遅咲きのライバル青木功とともに、日本のトーナメント隆盛の礎をつくった。勝利数113。賞金王12回。圧倒的な数字を残している。

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