【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.805「持ち球は変えられるし、作ることができる」
米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
素朴な疑問ですが、どうして人によって持ち球が違うのでしょう。骨格や筋肉の違いによるのか、それとも環境や性格によるものなのでしょうか。また、持ち球として一番有利なのはどんな球筋でしょうか。(匿名希望)
一般にゴルフには9種類の球筋があると言われています。
真っすぐ飛び出す弾道と左右に行く弾道。
この3方向へ飛ぶ打球の中にも、そのまま真っすぐ進むものと、途中から左右へ曲がるものがあります。
それぞれ3つの弾道に分類でき、飛び出し方向と曲がる方向を掛け合わせて9種類の球筋があるというわけです。
真っすぐそのまま伸びる弾道をストレート、真っすぐ出て途中から少し右へ行くのがフェードで左はドロー。
大きく右に曲がるとスライス、左に曲がればフックと呼び方を変え、ミスの含みも表すこともあります。
最初から右へ飛び出す打球はプッシュアウトと呼ばれ、左の場合はプル(引っかけ)と言われることもあります。
右へ出て途中からさらに右へ曲がるのがプッシュスライスで、反対に左へ戻って来るのはいわゆるチーピンですね。
球筋は水平方向に分類されたこの9種類と言われますが、実際には垂直方向の高弾道、通常弾道、低弾道の3つを加えて考えるべきなのかもしれません。
9種類の球筋が出るメカニズムについては、ヘッドの軌道とインパクトでのフェースの向きによって説明されています。
では、人によって持ち球が違うのはどうしてかということですが、体形や体格、筋力や柔軟性などにより個々のスウィングにはさまざまなクセや特徴があり個性の違いによって持ち球の違いを生み出していると考えられます。
平らなライで、いつも通りのスウィングで打ったショットが描く弾道を持ち球と呼ぶとすれば、それはあなたの骨格や筋力といった肉体的条件が自然に作り上げたものと言えるかもしれません。
ただし、その持ち球が極端なスライスであったとしたらどうでしょうか。
おそらく自分の持ち球を変えるための練習をすると思います。
持ち球というのは、初めのうちはいざという時に出てしまう自分のクセ球と認識しておくべき球筋だと思います。
しかし、持ち球は基本的には変えられるし作ることができると思っています。
ビギナーはスライスに悩まされることが多いかと思いますが、練習を重ねスウィングが出来上がってくると球筋も変わってきます。
こう考えると、持ち球といってもゴルファーのレベルに応じて意味は違ってくると思うのです。
単に球筋を指す言葉でもあるが、時にはクセ球や狙い球の意味になり、風に負けない重い球といった独特の球質を示すこともあります。
一番有利な持ち球は? という質問がありましたが、それはもちろん真っすぐな球ですよね。
ただ、どんなに調子のいいプロでも自分のイメージ通りのショットは1ラウンドで1回あるかないかです。
それだけ思い通りにいかないし、ほんの少しの違いでボールの回転量や方向はズレて安定しません。
だからプロは大きくズレてしまわないよう、インテンショナルにスライスやフックの回転をかけてボー
ルを安定的にコントロールしようとすることがあります。
ですから、持ち球とは作り上げて自然に振ったら出る球筋のことを指します。
本当の持ち球を身につけるべく、とにかく日々の練習に励んでください。
「何度も言わせてもらいますが、毎日のコツコツ練習はほんとうにあなたを成長させる唯一の方法なのです」
週刊ゴルフダイジェスト2024年3月19日号より
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