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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.167「歳を取っても“切れ味”は出せる」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Yasuo Masuda

前回のお話はこちら

12月のシニアツアーの2次予選会では調子もよくなくて、最終予選会には進めませんでした。今63歳ですから、プレーヤーとしてはあとわずかとは思うています。でも、もともとプレーヤーになりたくてプロゴルファーになったわけですから、できるうちは頑張ろういう気持ちでいます。

やり残したことはいっぱいありますからね。まだまだ思い通りにいってない。

もちろん、これからやったらエージシュートもしたいですよ。


でも、それはそれとして、「僕はこんだけのスコアで回ってんや」いうことを勲章にしておる人もいるけれど、僕はそれよりは、自分が思った通りにゴルフできんと、合点がいかないんです。せっかくゴルフをやったんやからね。

別に400ヤード飛ばしたいということではないんです。この年齢になっても未だ、技術を会得したい。よりよく歳を取り、よりよく切れ味を出せるようになれたらと思うてます。

歳を取って切れ味を出すいうんは難しいやろと言われるかもしれんけれど、クラブを感じていたらそれなりにはできると思います。間違った振りをしている人と、ものすごい切れ味のよい振りをしている人とでは、同じ体力でも球の距離は全然違います。もちろん球の止まりも違うし、球を曲げることもできるやろうし。だから切れ味を出すいうんは、得することが盛りだくさんにあるわけですよ。

僕の感覚では、「力が抜けて、ヘッドを感じて、レベルに振る」、これが一番いい状態でできておれば、切れ味のいいスウィングになるはずなんです。後は応用ですから。

この歳になっても、いくらでも自分が知らなかったことが出てくるやないですか。一生懸命体を鍛え、それで飛ぶようになったとして、それはそれでええんやけど、どちらかというと僕はもうそっちには行きたくない。

まあ、腕立て伏せ10回くらいはやってもいいですけどね。もちろん人それぞれで、歳を取ったからこそトレーニングせなあかんという考えの人もおります。そこはアスリートなのかプロなのか、昔ながらのプロなのかで取り組み方は違います。

でも、やっぱり、歳がいったら、切れ味を出すスウィングや思うとります。

「歳がいっても、こうやっていろいろ言って楽しめるんがゴルフのいいとこや思います」

奥田靖己

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月27日・3月5日合併号より