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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.163「6インチルール」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tsukasa Kobayashi

前回のお話はこちら

今回もプロアマでの話をしましょう。そこで上手なお客さんがたまたまハンディ6やったんです。

歳は40代半ばくらいなんですけど、そのプロアマは6インチOKだったので、初めは使いまくるわけですよ。めっちゃ上手いのに何でそんなに球動かすんや、と思ったんですけど、やっぱりええスコアで上がりたいんです。

日本って普通に6インチルールってやるやないですか。もともとはね、たとえばディボット跡にあるボールを打つとターフの穴が深くなりますよね。そうすると芝の養生に悪いので良いライに置いて打ってください、いうことで、ゴルフ場サイドからの要請から出たものなんです。


でもゴルフを初めてやる人は、それが普通で、いつでもOKと思ってやっておるんです。しかし、基本は「あるがまま」やからね。こういう話をすると必ずそれに戻ってきます。

プリファードライなど、ルール上で決められたものもあるけれど、あれもコースの状況でプレー不可と見なされたときに初めてやるということが書いてあるんです。ぬかるんでできないとか。そういうときにはやりなさいと。

ただ、ちょっとボールに泥が付くからってすぐにプリファードやれって選手も言うでしょう。そんな馬鹿なことはないんです。

昨年、PGA(日本プロゴルフ協会)の新人セミナーで話をする機会があったんですけど、ある選手が「どうやったら勝てますか」と聞いてきたから、

「とにかく『あるがまま』でやって。タイガー・ウッズなんかはボールの右側に泥が付いていたときは、どっちにボールが飛ぶかなんて、そういうことを検証して、自分が不利な状況でもプレーできるように皆がやらないことをやってたんや」と。「良いライからいい球を打つなんていうんはプロなら当たり前。そういう過酷な状況からでも普通にいい球が打てるんはどうしたらいいかということを考えないと勝てる選手になれんよ」という話をしたんですけれどね。

最近は世界に通用するゴルファーを育てるために造ったというコースもあるやないですか。そこで「6インチ」したらどないなんねん、いうことですから。

「はい。やっぱりゴルフは『あるがまま』なんですわ」

奥田靖己

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年1月30日号より