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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.797「突然の逆球。原因は筋力や柔軟性の低下かも」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


歳を取ったせいでしょうか、この頃、つま先下がりのライで左へ引っかけることが増えました。クラブを大きめに替えたことも原因なのか? なぜか逆球が出てしまう要因を探しています。(匿名希望・55歳・HC2)


つま先下がりならスライス、反対につま先上がりならフックが出る――これは、ゴルフのセオリーですね。

ところが最近、逆球が出るということですが、別段スウィングが変わったわけではないし、タイミングやボールの位置にも違いはないはず。

あなたの言うように、年齢を重ねて体の柔軟性がなくなったということかもしれません。

誰にでも訪れる老化現象は目、肩、腰の順でやって来る、などとも言います。

そこでゴルファーがまず警戒すべき兆候は、目の衰えでしょう。

そして自覚症状がないにもかかわらず、大きな影響を与えるのが、弱くなっている足腰です。

セオリーとはまるで逆の、つま先下がりのライからフックが出てしまったのは、あなたが不安定な下半身をかばおうとして本能的にクラブを手でこねるように操作していることが疑われ、それが逆球の原因になっているのではないかと思います。

ハンディ2ともなればゴルフの技術や経験量も確か。あなた自身「年齢のせいでしょうか」と前置きしているあたり、足腰の衰えからくるスウィングの微妙な変化が問題なのでは、とすでに察しがついているはずですね。

ただ、あなたがこれからも競技ゴルフを続けていくのであれば、年齢のせいと簡単に諦めるわけにはいかない。


同じようなシチュエーションで何度も似たような逆球が出てしまうとなると、フラットなライからのショットのスウィングでもいいので、動画を撮ってチェックしてみることをお勧めします。

また、思わぬ球筋が出てしまう理由の一つには、ラウンド回数が急に減りプレー頻度が格段に減少した場合なども考えられます。

筋力や柔軟性などが低下してくると、従来は自動的に制御されていた体の動きがスムーズに行えなくなる可能性があるからです。

毎日やっていることなら通常通りこなせますが、久しぶりにやると上手くいかないことがあるということです。

いずれにせよ、自分の意図と真逆へボールが飛んでいくとなると、これは不安ですよね。

完全に制御不能の状態なのですから、はっきり言ってスコアメイクはかなり難しいと思います。

しかし、あなたは悩んではいるものの、自分のスウィングを矯正しようとは考えていないようにお見受けしますが、いかがでしょうか?

おそらく、ゴルフに対する姿勢は真剣だし練習熱心かとは思いますが、レベル問わずどんな人の意見にも耳を傾けるのはいかがかしら。

意外と目からうろこのヒントがあるかもしれませんよ。

ちなみに、これはつま先上がりのライでのことでしたが、練習ラウンドで一緒に回っていた後輩選手が、いとも簡単にその球筋を打ち分けていたのを見て驚いたことがあります。

あなた、それどうやって打ってるの、と質問したら、フラットなライからの時と同じですよ、と(笑)。

説明を聞いてやってみるんですが、わたしにはどうしても上手くはできませんでした。

天性のカンとでもいえばいいのか、つま先上がりから簡単にスライスを打てる人がいるもんだと感心したのを覚えてます。

ちなみに、わたしは左足下がりからのフックは得意にしていたんですけど、よく驚かれました(笑)。

最後にこんなアドバイスを。

弱った足腰でスウィング矯正のため無理な筋トレなどに取り組んで体を痛めては本末転倒です。

考え方を変えて、常識にこだわらず逆球も、自分のなかでの純粋な球筋と心得るのも、一つの方法ではないでしょうか?

「あなた自身の考え方や発想次第で、きっと好転させられるはずです」

週刊ゴルフダイジェスト2024年1月9・16日合併号より

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