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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.144「柔道はつらい思い出ばかり…でもひとつだけ役に立ったことがあります」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tsukasa Kobayashi

前回のお話はこちら

実は中学生のときは柔道部でした。親戚の兄ちゃんが柔道2段やったんですけど、遊んでじゃれ合っているときにいつも力で負かされる。それで面白そうやと思い柔道部に入ったんです。

トレーニングはめっちゃしんどかった。僕らの時代は非科学的なトレーニングが横行してましたから、今ではひざを壊すので禁じられておる“うさぎ跳び”や自分の足首を持って歩く“練り歩き”とか、人をおんぶしてのダッシュとか階段上り、あとは手押し車で階段上りもやりました。どれもこれもつらい思い出です。

練習は、ひとつの技の習得のために繰り返し技をかける“打ち込み”や、試合形式のいわゆるスパーリングである“乱取り”、これを延々と続けるわけです。

得意技は内股と大外刈りで、一応、警察署で昇段試験を受けて初段を取りまして、黒帯です。ただ、続けようとは思わず、柔道は1年半でやめてしまいました。

よく他のスポーツの経験がゴルフにどんな影響を及ぼしたんかが話のタネになりますが、僕が柔道やってよかったと思うたのは、左手が強くなったことですかね。

柔道は右組みの場合、右手は相手の左襟を持ち、左手は相手の右袖を持ちます。このときの左手は「引き手」といって、相手との間合いをコントロールしたり体を崩すといった重要な役割を担っております。

それで僕はプロゴルファーになったときに、左手の握力が73kgで利き手の右手は57kgと、左手のほうが強かったんです。ゴルフでは「左手リード」の重要性はよう言われますから、その点は左手の引き手で強化された効果はあったんやないかな思います。

スウィングのときに、「これ背負い投げをかけるときと同じ感じやな」と思うことがあって。それで調子が悪いときに、背負い投げする感じで打ったれと思うて打ったら、調子よくなったことがありましたね。

身についているリズムとかタイミングって、案外とそういうときに利用できるんや思いました。

そう考えると、柔道がゴルフの役に立ったこともあるんやなと思いますけれど、かといって、もう一度やるか言われたら考えますね。どっちにしろ、あのトレーニングだけは二度とやりたくないですわ。

「背負い投げする感じで打ったら、調子ようなったこともありました」

奥田靖己

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号より