ゴルフ好きの自動車ジャーナリスト・小沢コージがゴルフに最適なクルマを求めて奔走する連載「小沢コージの只今コージ中!」。第93回はトヨタ「シエンタ」の実力をチェック!

PHOTO／Takaaki Miura　MODEL／Mao Suzuki（GOLULU）　THANKS／カメリアヒルズCC

大切な息子や娘、時には愛する妻とのファミリーゴルフ。そんな時のドライブの相棒としてトヨタの定番コンパクトミニバン、新型シェンタはいかがでしょう?

正直、ゴルフドライブに付きものの長距離走行に長けた多人数乗用ミニバンではなく、街中の使い勝手を重視し、狭めの3列目シートを備え、突発的な短距離移動に非常に便利な3列シートミニバン。

ボディは完全5ナンバーサイズで、人を一応最大7人運ぶことはできますが、3列目はさほど広くも快適でもありませんし、パワートレインも1.5Lハイブリッドか1.5Lガソリンしか選べず、特別パワフルでもなし。

しかしそれでもどんどん進化し、高速道路をクラウンやベンツみたいに矢のように走るわけではありませんが、新世代TNGAプラットフォームもあり、見た目を裏切る高速性能とハンドリング性能。パワーも自慢の1.5Lハイブリッドはシステム出力116psで、さほど余裕はありませんが、電動加速でスムーズに加速しますし、なにより燃費が半端ない。

モード燃費はハイブリッドFFでリッター22km台、ガソリンでリッター18km台と驚異的。ぶっちゃけ輸入高級車の倍近く走れます。つまり経済性は文句ナシ。

かたや居住性ですが、3列目は確かに狭いものの、シートを折り畳んで荷室にするとステーションワゴン並みの広大スペースに。1&2列目に人が4～5名乗り、キャディバッグを頑張れば人数分積載可能。ゴージャスではありませんが、連搬性は見た目以上。下手な大型ミニバン並みに使えるのです。

それでいて車両の取り回しに効く最小回転半径は軽自動車並みに小さくわずか5.0m。広いゴルフ場の駐車場では関係ありませんが、狭い住宅地に家族や友達を迎えに行くときに苦労がありません。

また先進安全機能として現行トヨタ車ではトップレベルのトヨタ・セーフティ・センス最新バージョンを搭載。夜間に歩行者や自転車を判別する被害軽減ブレーキや、交差点での右左折時にも安全性を確保するだけでなく、新たに同りの動きを予測して制御する、プロアクティブドライビングアシストまで備えました。

豪華さではなく利便性と経済性と安全性に優れた最新ファミリーミニバン。これはこれで家族愛が感じられるゴルフドライブが可能なのではないでしょうか?

（左）ラゲッジ容量はコンパクトカーとしては大きめの351Lだが、横幅が狭いためキャディバッグを積むときはリアシートを倒そう／（右上）Rラインは専用のファブリックシートとドアシルプレートの採用でスポーティな印象を強める／（右下）ウィンカーの光が流れるように点滅するダイナミックターンインジケーターを装備

トヨタ

シェンタ Zハイブリッド（7人乗り）

全長x全幅x全高／4260x1695x1695mm
希望小売価格／291万円～

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月8日号より