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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.131「“丹田”の鍛え方」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Takanori Miki

前回のお話はこちら

多くのプロが、飛ばすときにどこに力を入れているかと聞くと「丹田」だと言います。

丹田は、いわゆるへそ下三寸の下腹部のことですが、もちろん意識して力を入れているのではなくて、「よく考えてみればそこに力が入っているようだなあ」いうことやと思いますが、でも実際にインパクトで丹田に力が入っているのは間違いないことでしょう。

たとえば、ちょっと大きくて思い切りいかんと越えられん水たまりを飛ぶときに、間違いなく丹田には力が入っています。


でも考えてみてください、水たまりを飛ぶときに「丹田に力を入れよう」思うて飛んではいないですよね。水たまりを飛ぶとき、「右足の股関節の内側辺りを使う」とか「へそ下三寸に力を入れるんや」とか、そんなことはよう知らん話です。

だから水たまりを飛ぶ瞬間にも、ドライバーでボールを飛ばすときにも、丹田に力を入れようなんてことは意識をせんでいいんです。勝手に力は入りますから。

ただ、越えるのが水たまりならいいけど、深い崖(谷)の場合はちょっと話が違ってきます。普段、丹田を鍛えていなくて飛び越えられんでも、水たまりなら落ちて死ぬことはないけど、深い崖の場合は命がなくなってしまいます。

だから大事なんは、崖を飛び越えるようなとっさのときに無意識にその筋肉を使えるかどうかいうことで、それには普段からそこに意識を向けているかが大事なことになってきます。

たとえば、台風が来る前に屋根を補強するとか雨戸を補強するとかのように、いざというときに備えて筋肉も補強をしておかないといけないいうことです。

じゃあどうしたら丹田を鍛えられるかですが、これが難しい。丹田はへそ下三寸の深い所の筋肉で、今でいうインナーマッスル。ここは筋トレでは鍛えられないと言われます。

ではどうするか。

いざ崖を飛び越えるいうとき(試合や大事なラウンド)のために、水たまり(普段の練習やラウンド)のとき、スウィング中に丹田に力を集めるように意識して練習をしておれば、いつか本番でも、インパクトで無意識に丹田に力を集中させることができるようになると思います。

「普段の練習でも、丹田に力を集めるように意識することが大事です」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2023年6月6日号より