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【ゴルフせんとや生まれけむ】九重龍二<後編>「相撲の動きを意識してハンディ4に! ゴルフとの共通点は…」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き、元力士の九重龍二氏。

前編はこちら

真剣にゴルフをやってみようと思ったのは引退して年寄佐ノ山を襲名してから。毎日、練習場に通って400球打ちました。雨の日も風の日も毎日休まず練習場に通った。アイアン150球、ドライバー50球、アプローチ200球。3時間くらい打ちっ放し、途中で昼食を食べて夜まで打っていたこともありました。

実は私、ゴルフのためダイエットしたんです。脂っこいものをとらず、7年かけて40キロ体重を落とした。ダイエットもゴルフの上達のため。スウィングに邪魔になる余計な筋肉を落としていったんです(笑)。

上手くなりたい一心でプロにも聞きましたね。石川遼プロ、片山晋呉プロ、谷原秀人プロ、岩田寛プロ……いろいろなプロに教わったけど、私、人の言うことをあまり聞かないのがわかるからか、最後は「偉大な我流で通したほうがいいですよ」って笑われて終わり。どうもプロゴルファーのスウィングではあり得ない打ち方をしているみたいで(笑)。「パットとアプローチはすごくやわらかくていいんだけどね」とよく言われました。


それであるとき、ふと思った。私は現役の力士のとき、突き押しが得意でした。その突き押しって、ゴルフのスウィングそのものじゃないかと。右手を突き出して、左手を突き出す。空手の正拳突きと一緒ですよね。それで、あ、相撲と同じだと。そう考えたら、スウィング中に頭が動くこともなくなり、軸もブレない、スウェイもしない。足は両ひざの間にバランスボールを挟んで素振りし、これも相撲のすり足と同じだと(笑)。最初はスウェイが直らなかったんだけど、あごを引いて突き押しをイメージしてから、いい球が出るように。やがて年間50回くらいラウンドするようになり、4年前に千葉県のカレドニアンGCのメンバーになって、つい最近、ハンディを取得して4になりました。

コースに出ると一球入魂。雑な球は1球も打たないように心がけています。得意クラブはドライバー。夏場だと350ヤードは飛びますね。愛用クラブは夏用のドライバーがテーラーメイドSIMの10度にドラコンプロが使うハウスオブフォージドというシャフトの4Xを挿し、冬用はPRGRのRSのヘッドにスピーダーのSシャフトを挿しています。ただ、以前はドライバーを振り回して攻める一辺倒のゴルフだったけど、いまは「プロは試合なら何番で打つかな」と考えてクラブ選びをする。この「攻め」と「我慢」の切り替えがゴルフの面白さかなと思うようになったらハンディ4になったんです。

中学生の頃はずいぶんむちゃもやりましたけど、相撲界に入って真っ当な人間になり、ゴルフを覚えて真っ当な大人、自分的には紳士にもなれた。そういう意味で、私にとってゴルフは人間形成のうえですごく役立ったと思っています。

今後のゴルフの目標は、まずカレドニアンの競技に出て、クラチャンを取りたい。そして50歳になったらシニアプロのテストを受けてプロになり、片山プロなどに挑戦したい。いまから歳をとるのが待ち遠しくてたまりません(笑)。

九重龍二

ここのえ・りゅうじ。1976年生まれ。大分市出身。力士時代のしこ名は千代大海。回転の速い突っ張りと突き押し相撲で中学時代は九州中に名の轟くヤンチャだったこともあり、「角界の番長」「ツッパリ大関」と呼ばれ人気を集めた。幕内優勝3回。最高位は東大関。2010年1月に引退。年寄佐ノ山→九重を襲名

週刊ゴルフダイジェスト2023年5月23日号より