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【名手の名言】赤星四郎「ゴルフは自分の人柄を天下に公表するゲーム」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、日本ゴルフの黎明期に多大な影響を与えた赤星四郎の言葉を2つご紹介!

東京GC朝霞Cにて。左が赤星四郎


ゴルフは自分の人柄を
天下に公表するゲーム。
欠点が赤裸々に露呈されて
恥をかく仕儀になる

赤星四郎


赤星四郎・六郎兄弟は日本ゴルフ界の黎明期に多大な影響を与えた人として、ご存知の方も多いだろう。米国留学したこの2人がいなければ、日本のゴルフ界のスタートはもっと遅れたといっても過言ではない。

六郎が技術面――米国の近代スウィング――を伝えたとすれば、四郎はマナーやルールなど、ゴルファーの高邁(こうまい)なる精神について説いた。表題の言葉もそうだ。

「なまじゴルフなどやらなければよかったのにと思う人物がいる。静かにしてればいい人で終わったのに……」と嘆息したのはしばしばだった。そこでこういう人物には以下のように助言した。

「とりあえずの礼儀作法を学んだうえでゴルフを覚えること。さもないと社会的信用までなくす人生になりかねない」

普段は温厚に見えるのに、ゴルフになると、とたんにクラブで地面を叩いたり、キャディに当たったり、自分の世界に入り込んだり……。ゴルフ場での振る舞いにこそ、その人の人柄が表れるもの。“社会的信用”を失う前に、自分はそうなっていないか、振り返ってみよう。


コースからスコアだけを
持ち帰る者に友人はできない。
誠実な人に対して
ゴルフは多くの友情と信頼を
お土産にくれるんだ

赤星四郎


赤星四郎は、弟・六郎と米国留学していたときにゴルフと出合い、帰国してから日本ゴルフ界隆盛への道を拓いた功労者。プレーヤーとしての成績は六郎が上回っているが、コース設計家としては残された作品からして四郎のほうに軍配が上がろう。

米国でのゴルフからスポーツマンシップを学んだ兄弟は、それぞれゴルフのアイデンティティともいうべき言葉を遺している。

表題の言葉もまさにそうで、スコアばかり追い続けている人はゴルフの持ついちばん良いものを見逃すばかりだといいたいのだ。その頃の日本でのゴルフがまさにそうだったのだろう。六郎も日本のゴルファーは言い訳ばかりいいすぎると嘆いていた。

もちろんゴルフはスコアを競うゲームではあるが、そこばかりを追い求めてしまうと、大切なものを失ってしまう。100年前からゴルフの本質は変わっていないようだ。

■ 赤星 四郎(1895~1971年)

あかほし・しろう。薩摩藩出身の政商、赤星弥之助の四男として生まれる。米国留学し、ペンシルベニア大学卒業後、スタンダード石油でビジネスを学ぶ。ゴルフは大学時代に出合い、プレーヤーとしてもだが、コース設計理論へも傾倒していく。帰国後は日本のゴルフ普及に尽力。主なコース設計は程ヶ谷CC、霞ヶ関CC東、箱根CC、芥屋GC、函館GCなど数多い。