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【ゴルフせんとや生まれけむ】平石洋介<後編>「悩んだ末に“左”に転向。結果は意外にも……」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、 前回に引き続き、元プロ野球選手の平石洋介氏。

前編はこちら

ゴルフを右打ちから左打ちに変えた話の続きです。僕は考えるのが好きなんですね、こうすればもっと体が動かしやすいんじゃないか、とか。でも、考えれば考えるほどドツボにはまることもありますね(笑)。

そう、ゴルフで最初に左にチャレンジしたのは2021年の夏の五輪期間でシーズンが中断になったとき。ホークス時代ですね。気分転換にと打ちっ放しに行ったとき、ふと、左で打ってみたいと思ってピッチャーの嘉弥真(新也)が左打ちなんで「使っていないクラブないか? 貸してくれん」と言って。練習場で打ってみたら思いのほか当たるんですよ。気持ちよく振れて、右よりもイメージが出る。そこから葛藤が始まったんです。「右じゃあこれ以上劇的にうまくなることはないやろな」「でも今さら左で」とか。でも、やっぱりやってみようと。

初ラウンドはドキドキでしたが、93だったので悪くないでしょ。一緒に回ったメンバーは驚いていましたね、急に左になったから(笑)。でも「左のほうがいい」と高評価(笑)。右のときは周囲に「もっと振れ」と言われたものでしたが、左利きが右で打つから振っていないように見えていたんじゃないかなというのが僕の分析。飛距離も左のほうが出ます。アイアンは1番手違いますから。番手ごとの距離感が変わったので調整していますが、野球がシーズンインすると難しいんですよね。でも、今後は左でいくつもり。右のクラブもまだとっているんですけど、しまってます。心が揺れないように。

ドライバーの飛距離は、こだわらないことはないです(笑)。若いころは「飛ばしにこだわるのは違う」と思っていたんですよ。当時一番の憧れは岡本綾子さんのスウィング。ああいうリキみのない感じがいいなーって。柔と剛だったら絶対柔。サッカーだったら中村俊輔さんとか遠藤保仁さんとかバレーボールの青山繁さんとか、めちゃめちゃ好きでした。そんな“柔”を目指しているのに、周囲が「もっと振れ」「振らないのセコイ」って言うから困った(笑)。で、得意の“考える”に入ったんですけど、ゴルフって考えるだけじゃなく考えたことをちゃんと整理しないといけないでしょう。だから今はもっぱらその整理とコースマネジメントに努めています(笑)。

マネジメントを考えると、まずティーショットをワクに収めることから始まります。僕ら素人はやっぱりドライバー。プロ野球関係者はほら、曲げたら隣の隣のホールに行ったりしますからね。だから、ほんと大変だと思うのが、球団の納会ゴルフみたいに、アンダーで回る上級者とビギナーの選手やスタッフが一緒に回るときのキャディさん。新人に「スコアなんぼやった?」と聞くと「103」って言うので「まあまあやん」と言ったら「前半」って答えられて「よう、数えたなー」ってなったりしますから(笑)。だから、この場を借りて全国のキャディさんにお礼とお詫びを申し上げます……。

あと目標は……上手くなりたいですねえ。上手くなりたい。二度言いました(笑)。左でまず70台。右でもアンダーは出していないので、ゆくゆくはアンダーの世界を見たいですね。

平石洋介

1980年、大分県生まれ。PL学園高3年時には春夏とも甲子園出場。トヨタ自動車を経て楽天イーグルス入団。2019年、楽天の監督に。“松坂世代”として初めてNPBの一軍で指揮を執った。現在は埼玉西武ライオンズのヘッドコーチ(PHOTO/©SEIBU_Lions)

週刊ゴルフダイジェスト2023年3月21日号より