【只今コージ中!】Vol.101 走って感じるカーボン風味! 違いがわかる人のためのバッテリーEV、BMW「iX」
ゴルフ好きの自動車ジャーナリスト・小沢コージがゴルフに最適なクルマを求めて奔走する連載「小沢コージの只今コージ中!」。第101回はBMW「iX」の実力をチェック!
PHOTO/Takaaki Miura THANKS/カメリアヒルズCC
新作ゴルフギアにうるさいGD読者のみなさん! ウッドヘッドの素材革命は当然ご存じかと思います。80年代後半からパーシモンからメタル、チタンやカーボン複合素材など、新たな物理特性により飛距離や打感などが進化してきました。
実はクルマもそうなのです。素材量が猛烈に多いためクラブに比べ進化は遅めですが、鉄板から作られていた自動車ボディは今や同じ鉄板でもより硬い高張力鋼板や一部アルミニウム、ここに来てカーボン複合素材まで使われています。そのある種のリーダーがBMWであり、今回乗ってきた新世代のフラッグシップSUVEVのiXなのです。
エンジン車のキモチ良さで知られるBMWですが「電動化」と「新素材化」でも業界のリーダー的存在。今から9年前にコンパクトEVのi3を発表。鉄板を一切使わないアルミ合金フレームやCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)ボディを採用。素材革命は始まりました。
その最新版が電動SUVのiX。サイズは全長4955×全幅1965mmと大きく、デザインは斬新。巨大化したキドニーグリルは好き嫌いが分かれますがEVらしく風を通さず独自の無愛想さが際立っています。室内もエンジンを搭載しないためホイールベース3mと長く、リアは身長176cmの小沢がひざを組んで座れます。インテリアにも宝石のようなクリスタル風スイッチが使われゴージャス。かたやシフト回りは明るいウッドパネルでナチュラルさも備えています。
肝心の新素材ボディの走り味ですがこれまた斬新。ドアを開けると見えますが、骨格たるアルミスペースフレームの上に独特の模様を持つカーボンプラスティックがふんだんに使われ、宇宙船のよう。そのほかアルミやスチール素材が効率的に配置され、ボディ剛性が飛躍的に高まったうえに独特の振動吸収性も発揮。硬い鉄板にありがちなキンキン音やゴツゴツ感が伝わってこず、非常に快適。カーボンヘッドのドライバーを初めて試打した時もそうでしたが、ボールの手応えの割に反発音は控えめで、手応えも穏やか。iXもそんな不思議な味わいなのです。
トランク容量は500Lと大きいのにバッグ積載は2本。そこは残念ですがかつてない快適ゴルフドライブが楽しめます。違いがわかるアナタにピッタリの新世代ゴルフデートカーなのですよ!
(左)ラゲッジ容量は500Lと広いが、キャディバッグは3本積載/(右上)12.3インチのインフォメーションディスプレイと、14.9インチのコントロールディスプレイからなる大型ディスプレイが特徴/(右下)カーボンがふんだんに使われているボディ
BMW
iX xDrive50
全長×全幅×全高/4955×1965×1695mm
メーカー希望小売価格/1285万円~
週刊ゴルフダイジェスト2023年3月7・14日合併号より