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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.117 「いつまでも逃げていては“自信”は生まれません」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Hiroshi Yatabe

前回のお話はこちら

多くのアマチュアの人にとって、ゴルフ上達のバロメーターはスコアです。これがややこしい。僕から言わせれば、スコアいうんは単なる数字であって何のバロメーターにもならない、ただの結果です。

たとえばプロが試合の練習ラウンドで「68」で回ったのに本番で「80」を叩くなんてことは、ままあることで、あてになりません。

だいたいが皆さん、人がよいスコアを出した話なんか聞きたいですか(笑)。


プロはスコアがバロメーターではないとしたら、何を手がかりとしてゴルフの上達を実感しておるんかいうことですが、たとえば、僕らの時代のプロは練習ラウンドではスコアは付けません。その週の試合で結果を出すために、いろんなことを試すんが練ランの目的。いろんなことを試して少しでも本番での「心配」を減らすことが本戦でよい成績につながるからです。

ドライバーでとんでもないスライスが出んようになったから右サイドのOBが気にならなくなったとか、バンカー越えのアプローチが自然に打てるようになったとか、1.5メートルのパットは外す気がせんようになったというふうに、「心配」が減っていくことが成績につながるわけで、それが上達のバロメーターになる。

去年の暮れに、PGAの新人研修会でそんな話をしたときに、「じゃあ練習ラウンドで自信をつけるにはどうしたらいいんですか」いう質問してくる子がいたんです。

そこで僕は、「東海クラシックの三好CCの16番パー3あるやろ。グリーン左は崖でティーショットを崖下に落としたらダボかトリになるツアー屈指の難関ホール。今後、君らが三好で試合をやることになったときに、練習ラウンドでピンが左に切ってあったら絶対ピンを狙っていけ、何回崖下に落ちてもいいから、とにかくピンを狙って打て」と言いました。

よく正規のルートはグリーン右手前だと言うけどそれは違う。確かに、三好の16番のティーイングエリアに立てば、名うてのプロでも恐怖を感じます。

でも、その恐怖を前にしてずっと逃げて暮らすんですか、いう話なんです。なんでもそうですが、恐怖心を乗り越えなければ「自信」は生まれません。

「難関ホールでも逃げない心が自信を生みます」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2023年2月21日号より