【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.114 「冬こそゴルフをやってみてください」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
冬場のラウンドでは、たまにグリーンが凍っていると文句を言うとる人を見かけます。
グリーンをとらえたボールが凍ったグリーン上でコーンと弾かれて出てしまうと「なんだよせっかく乗ったのに」と、なんでもかんでも「俺に合わせろ」いう人ですわ。
でも自然やコースはプレーヤーに合わせてはくれません。「コースにあなたが合わさなアカンのです」と言いたいです。
文句を言わないまでも、冬場のゴルフを敬遠する人は多いです。でも、自分のゴルフの鍛錬のためにも冬こそゴルフをやるべきです。
夏場のアイアンショットはフェアウェイからなら少々ダフっても大丈夫ですが、冬場の、夏の3分の1くらいの短さでペタッとした枯れた芝では、インパクトで少しの誤差も許されなくなる。おまけに霜が解けて軟らかくなったりするとアプローチでもザックリが多くなる。
要するに冬はボールをとらえる精度が3倍要求されるわけで、だから冬はスコアが出んのです。ではどうすればいいんでしょうか。
冬場はボールの赤道から上を打つような感覚でショットしてみてください。ハーフトップ気味に打ってもヘッドが走ればちゃんとボールをとらえられます。
トップするんはヘッドが一緒に動いてしまうからで、振り子運動がスウィングのなかに入っていると、ボールの赤道あたりを打ったってトップにならんのです。スピンもかかります。
いろんなことがわかるのが冬なんですよ。攻め方も、グリーンを狙うときは、日なたの場所に打つと止まるけど、日陰を狙って打つと転がるいうことがわかっているわけだから、凍ったグリーンに直接乗せて弾かれて「乗ったのに何なんだよ」なんて文句言うたって、それは読めてない自分が悪い。
朝は凍っておったけど、東から日が昇ってきた。ホールの向きからしてグリーン上は日が差してから何時間くらい経っとるから、ボールはどれくらい止まるかなとか、そんなんもんまで全部入ってくるわけです。
そうしたら、これは手前からこれくらいのバウンドで乗せていこういうような、攻め方のイメージが出てきます。
「冬ゴルフには、上達するうえで重要な要素が詰まっています」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2023年1月31日号より