【ゴルフせんとや生まれけむ】山川豊<前編>「雨がパラパラ降ると『山川、来てる?』」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、 演歌歌手の山川豊氏。
ゴルフに関していうと、僕には他人に勝ちたいとか、負けて悔しいとかいう気持ちがほとんどないんです。だから「今日いくつで回ったか」さえ気にならない。最初からスコアをつけずにラウンドすることも少なくありません(笑)。ただ、それでもゴルフは楽しめるし、人と仲良くなったり人脈を広げるにはこれ以上のものはないので、もう何十年も続けています。演歌の世界でも北島(三郎)さん、五木(ひろし)さん、細川(たかし)さんら諸先輩の方々はみんなゴルフが大好きで、しかも、揃ってかなり上手い。それぞれの方がよく誘ってくださるので、時間がある限りできるだけお付き合いします。
でも、一つだけ大きな問題があって。実は僕、芸能界でも有名な雨男なんですよ。この間も北島さんのコンペに出たとき、まさに第1組がスタートしようとしたら雨がパラパラ落ち出してきて、北島さんとマネジャーさんが「今日、山川豊は来てんのか?」「ええ、来てます」「やっぱりな」と、そんな会話が交わされちゃうくらいなんですから。「大事なコンペには山川豊を呼ぶな」という話が、冗談ではなく本当にあるみたいなんですよ。
雨男というと、こんなこともありました。同じ演歌の仲間で昨年、この連載にも登場していた(石原)詢子ちゃんと回っていたとき、その日は幸いにも雨が降らず、真夏のカンカン照りだというのに彼女が傘を差していたんですよ。僕が雨男だから、晴れなのに傘を差して僕のことをからかっているのかなと思っていたら、日傘でした(笑)。ラウンド中に日傘を差すという発想が僕にはなかったのですが、彼女に借りて差してみたら、確かに涼しくていい感じ。それ以来、夏は雨でも晴れでも、プレー中は傘が手放せません。
そんな僕のゴルフデビューは、もうすぐ30になろうかという頃。仕事でハワイに行った時、水前寺清子さんに誘われて、クラブを握ったこともないのに、いきなりコースに出たんです。今となっては何という名前のゴルフ場だったかとか、スコアがいくつだったかとか全く覚えていませんが、止まっているボールがどうして打てないんだとイライラしながら回っていたことと、やたらに風が強くて大変だったことだけは記憶に残っていますね。
その後、いろいろな方に声をかけていただいて、普通ではなかなかプレーできないような名コースを回らせていただいています。たとえば、日米ゴルフ外交の舞台にもなった茂原カントリー倶楽部や小金井カントリー倶楽部でもプレーしたことがあります。そうそう、小金井ってスタート前に血圧を測るんですね。他のところではそんな経験をしたことがなかったのでビックリしましたが、メンバーさんも高齢の方が多いですし、健康状態のチェックなんでしょうね。
昨年はスリーハンドレッドクラブで10年ぶりくらいに100を切ったんですよ。僕のベストスコアは正確には覚えていないんですが、95くらいなので、これは僕としてはかなりの好スコア。数字は気にしないとはいえ嬉しかったですね。
山川豊
1958年、三重県の漁師一家の次男坊として生まれる。自動車整備士として鈴鹿サーキットなどで勤務したのち、81年、演歌歌手として「函館本線」でデビュー。レコード大賞新人賞など各賞を受賞。同じ演歌歌手の鳥羽一郎は実兄
週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号より