Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【世界基準を追いかけろ!】Vol.116 松山、畑岡、稲見…トップ選手に共通するものとは?

【世界基準を追いかけろ!】Vol.116 松山、畑岡、稲見…トップ選手に共通するものとは?

目澤秀憲と黒宮幹仁、新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は松山英樹、畑岡奈紗、稲見萌寧の3人を間近で見て感じた、高いステージで活躍できる選手と他の選手の違いについて。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 今年、黒宮コーチは松山、畑岡、稲見というトップ選手を見る機会があったわけですが、自分の中で何か変化はありましたか。

黒宮 正直、実感は無かったですね。(松山英樹の帯同として)ZOZOチャンピオンシップの会場で周りを見回した時に、確かに自分はこういう場に立ちたかったし、こういう世界のトップ選手のコーチになりたかったんだよなというふうな思いはしました。でも一方で、現場でやる内容は、依然として数年前から同じようなことをやっているなとは感じました。つまり、3人ともポテンシャルは高いですが、コーチと選手として交わす会話の内容などは、これまで関わってきた選手たちとそれほど変わらないということです。

GD コーチとしてやろうとすることが、その3人とそれ以外の選手との間で違いがなかったわけですか。

黒宮 普通だったらコーチに就任したらまず、選手をレッスンで成長させるというミッションが最初に来ると思いますが、あの3人の場合は、すでに高いポジションや評価を得ている選手たちだったので、まず考えるのは、今のポジションや成績を落としちゃいけないということになります。そういう目標設定の違いは当然ありましたけど、実際に現場でやってみると、お互いに話すことは他の選手とさほど変わらない。もちろんやることの負荷のかけ方とかは違うんですけど、でもやること自体はあまり変わらなかったという印象ですね。


GD そこは意外ですね。3人と他の選手との違いはなかったと。

黒宮 そこは僕自身も、答えを知りたいことでもあったんですよね。オリンピックの銀メダリスト(稲見)と、日本人の男女の世界ランク最上位の選手とを間近で見ることができるわけですから。何でこの3人はこのポジションにいることができているのか、また、他のプレーヤーはなんで3人のポジションにたどり着けないのかを知りたかった。

GD でも、その中で何か発見はあったのですか。

黒宮 多くの選手は成績が落ちた時に、自分がいるステージの選手と仲良くなって自分を正当化、合理化しようとします。でもこの3人は周囲とつるむことを拒否し、良い意味で孤独なんですよね。

GD それは以前にも話が出ましたが、なぜ彼らが孤独に耐えられるんでしょうか。

目澤 そこはやはり目標設定の高さじゃないですか。自分がどうなりたいかという意識を明確に持っているから、その実現のためには楽をしていては到達できないということをはっきりと分かっているという。

黒宮 確かに彼らは『意識が明確』です。レッスン中に質問をしてくる量が多いというのも3人に共通することなのですが、質問量が多い他の選手と違うところは、その内容が自分にとってどうして必要かということが明確に分かっているところです。

目澤 そこを分かっているかどうかは、得られる効果の多寡に大きな影響がありますよね。

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに。2022年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20日号より