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【江連忠のPROJECT E】Vol.231 アーノルド・パーマー「叩いても曲げない! 感情むき出しのフィニッシュ」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、本誌写真部

前回のお話はこちら


●今月のレジェンド●

アーノルド・パーマー

1929年米国生まれ。PGAツアー62勝、うちメジャー7勝。当時のスーパースターで「キング・オブ・ゴルフ」と呼ばれていた名手。2016年9月25日、87歳で死去。


形にとらわれない強さがある

「生涯一度も刻んだことがない」というほどの攻撃的なプレースタイルや、派手なウェアや爽やかな容姿で爆発的な人気だったパーマー。彼の熱狂的なファンには「アーニーズ・アーミー」と呼び名がつくほどで、アメリカでのゴルフの地位を押し上げた立役者です。

見る人をワクワクさせるプレーの特徴がこのフィニッシュに表れています。

ヘッドが背中側に行ってからグルッと回って顔の前まで出てくるようなフィニッシュは「ヘリコプタースウィング」と言われていましたが、これはとにかく球を強く叩いた結果の動き。


持ち球は低めのドローでしたが、当時のクラブとボールではこれだけ強く叩くと左に飛びすぎてしまうので、それを避けるための動きでもあったと思います。

フィニッシュをきれいに収めようとせずに、感情むき出しで振り切るスウィングは、「形にとらわれない」強さがあります。

僕はきれいなスウィングが好きですが、パーマーみたいな熱いスウィングも大好きです。

右足をストッパーにしながら体を最大限に回しているトップや、下半身リードの切り返し、そこから生まれる深いタメなど、フィニッシュ以外にも学べる飛ばしの要素があります。アマチュアでもスウィングのことを考えすぎて振れなくなっている人は多くいます。

見習って思いっ切り振り切ると新しい発見があると思いますよ。

パーマー’s Swing
体をしっかり回し切る

きれいなスウィングをしようとか恰好いいフィニッシュを取ろうとか考えずに思い切り打つと、案外球が曲がらなかったりするもの。ただし腕を速く振るのではなく体を回し切ることが大切

パーマーの系譜を継ぐのはこの選手

バッバ・ワトソン

形にとらわれずに飛ばすという意味ではバッバ・ワトソンも同じタイプで、規格外のスウィングで球をぶっ叩いています。パーマーとは反対にフェードヒッターではありますが、強く打ちたいけどフェースをこれ以上返したくないという意思が表れています。

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2023年1月号より