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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.746「ゴルフの神さま」は自分の中に…

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


私は若いころサッカーをやっていたとき、監督からよく「サッカーの神さまが見ているぞ」と言われました。いろんな意味が含まれていたのでしょうが、岡本さんは「ゴルフの神さま」についてどう思いますか?(匿名希望・47歳・HC9)


ピンチに陥ったり、抜き差しならない立場に追い込まれると、ふとお祈りの言葉を唱えたりとまさに、苦しいときの神頼み。

神さまのことを聞かれて頭にすぐに浮かぶのはその言葉です。

でも、ときどき調子の悪い選手が、ティーアップした後にコースへお辞儀をするのを目にすると、それはちょっと違うのではと思ったりします。

神さまにお願いするなら、もっと前に、少なくともコースに足を踏み入れる際にしたらどうかなと思います。

森羅万象、日常生活で使うさまざまな道具のひとつひとつにも神さまが宿っているといいます。気持ちはわかりますが、オマジナイのように神頼みを使っているのはどうかな~と思います。

自分の味方をしてくれる神さまがいるとすれば、それは練習を休まず努力を積み重ねてきた自分の中にしかいない。

そういう意味において、わたしはゴルフに関して神頼みをしたことはありません。

改めて振り返ってみると、わたしはネガティブな言葉にかなり敏感に反応して、徹底して使わないように気を付けているところがあります。

受験生が不合格に通じるといって「スベる」とか「オチる」といった言葉を避ける、あれと同じような感覚ですかね(笑)。

日常会話の中からも、なるべくマイナスイメージの言葉を排除したいです。

人の悪口を口にしたくありませんし、天に唾するなと両親に教えられて育ったこともありますが、子どものころから人を悪く言えば必ずその報いが自分に返ってくると直観的にわかっていたような気がします。

いってみればこれも、ネガティブ言葉を嫌うのと同じ、わたし流のゲン担ぎだと思います。

これは何もいつも「神さまが見ている」から、悪い行いは慎まなければいけないと、自分を戒めているわけではありません。


神さまから常に監視されているという意識はないし、神さまがそんなに意地悪でおっかない存在だと思っているわけでもありません。

快適に自分流の毎日を過ごしていくうえでのルーティンや習性と呼べばいいのでしょうか。

さて、今年の女子ツアーは西郷真央選手の快進撃で始まり、山下美夢有選手の圧勝で幕を閉じた印象です。

ともに5勝を挙げたものの、最終戦のリコーカップでは、くっきり明暗が分かれました。

勝みなみ選手とのプレーオフを制して有終の美を飾った山下さんに対して、最下位に沈んだのが西郷さんだったからです。

ですが西郷さんには気落ちせず「神さまに振り向いてもらえるのはまた今度」と、気構えてほしいと思います。

実はシーズン開幕から、西郷さん(身長158センチ)や今季2勝目を挙げた西村優菜選手(150センチ)など、山下さん(150センチ)を含む小柄な実力派の活躍に注目していました。

ほぼ同世代、いずれもしっかりしたスウィングでオールラウンドなプレーが共通しています。

山下さんが大活躍を見せたことで、今ゴルフを始めようとしている世代の子どもたちは「私にもできる!」と夢を描くことができるはず。

それは、山下さんや西郷さん、西村さんたちがかつて、宮里藍さんのプレーを目にして胸に抱いたのと同じ夢なのではないでしょうか。

宮里藍さん(155センチ)が高校3年で日本女子アマ選手権に優勝、その3カ月後のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでアマチュア優勝を飾り、プロ入り宣言をしたのが2003年。彼女たちが2~3歳だったときのことで、まさに光陰矢のごとし。

以降ゴルフ界はあらゆる面で進化し、選手層のレベルも全体的に向上したことで、「ゴルフの神さま」は、山下さんたち新しい世代に、今現在のステータスを用意してくれたということができます。

当然、「ゴルフの神さま」は、彼女たちに続く世代の後押しもしてくれるに違いありません。

わたしは、ますます今後のゴルフ界の発展が楽しみになってきました。

「いつも細部にこだわっていますか?」
(PHOTO/AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20日号より

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