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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.744「今年の女子ツアーはデータからも本当に見応えがあるシーズンになったことがわかります!」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


今年は山下美夢有選手が、ツアー最終戦の結果を待たずに年間女王の座獲得を決めました。開幕直後に見せた西郷真央選手の快進撃など、若い選手の活躍は驚異的。岡本さんはどうご覧になりましたか。(匿名希望) 


今年の国内女子ツアーは華々しい話題で大いに盛り上がりました。

昨年、2位が7回と初優勝が期待されていた西郷真央選手が開幕戦でツアーVを決めると5週間で3勝を挙げ、伊藤園レディス終了時点で5勝を挙げました。

さらに海外メジャーにも挑戦しエビアン選手権では3位タイに食い込む実力を見せつけました。

国内メジャーのワールドレディスで公式戦初優勝を果たしたプロ2年目の山下美夢有選手は、その後13試合連続トップ10入りという記録も打ち立てました。

ここまで(11月15日時点)出場31試合のうち実に20試合でトップ10入りした山下さんの安定したプレーぶりは群を抜いており、2試合を残し4勝を挙げメルセデス・ランキング1位の座を射止めました。

21歳と103日での女王戴冠は、2007年に賞金女王になった上田桃子の記録を上回る史上最年少ということでもありました。


西郷さんは2001年10月8日生まれ。山下さんも同年8月2日生まれの21歳でプロテスト合格も同期。

さらに同期には、昨年の全米女子オープンに優勝した笹生優花選手を含め、西村優菜、安田祐香、吉田優利選手らが顔をそろえています。

西郷さんも身長158センチですが、山下さんは150センチとさらに小柄です。

その割に体格は全体がしっかりしていて、どのようなトレーニングをしているのか興味がありますが、聞いたところによるとコーチでもあるお父さんが子どものころから、毎日300球の打ち込みと、両足首に2キロの重さのあるベルトを着けさせていたそうです。

5歳から練習場へ通い始めたということですが、ゴルフについて理解のある親の指導がいかに大切かということを感じます。

スウィングにはムダがなく、シンプルでテンポが良く、理想的なトップでキレイなスウィングだと思います。

ツアーが開催されるコースは、年々コンディションが良くなると同時にピンポジションも以前に比べて厳しくなってきており、身長の問題もありますが、フラットすぎるスウィングだとボールをピタッと止めるショットが難しいため、彼女のスウィングはややアップライトに見えるかもしれません。しかし、体型に見合った理にかなっているスウィングだと思います。

山下さんの31試合に出て20回のトップ10入りという安定した成績は驚異的。

昨年の2020-21年は変則的だったシーズンで比較しづらいとは思いますが、トップ10フィニッシュ回数1位だった稲見萌寧選手の45試合中25回(55.56%)に対して、今年の山下さんの数字は64.52%と大幅に上回っています。

ドライバーからアプローチ、パットまで総合力が試されるツアーで、まさにオールラウンドの強みを発揮したのが、2年目で開花した山下さん、西郷さんのゴルフだったと言えるかもしれません。

それに伴い、山下さんは11月15日現在、世界ランクで24位にまで上昇しています。

もちろん世界ランク1位のネリー・コルダ選手にまだ及びませんが、USLPGAで戦っている畑岡奈紗選手は10位、古江彩佳選手は22位で2人と遜色がなく、渋野日向子選手の41位を上回っているのですから、今は日本国内でプレーしていても、世界への扉は開かれていると言っていいと思います。

今年はステップ・アップ・ツアーでも櫻井心那選手の年間5勝という新記録が飛び出しました。山下、西郷選手よりさらに若い18歳、昨年11月のプロテストに合格した94期生。その櫻井さんは、最新の世界ランキングで159位(11月14日時点)。

これも、ロレックスポイントがステップ・アップ・ツアーにまで配分されていてこそのことです。下部ツアーにも4日間大会が誕生するなど、ランキングシステムの整備が進んでいることも頼もしい限りです。今後はますます国内の若い選手の目が世界へと向けられるようになることでしょうね。

「新しい選手が台頭してくると、ツアーはやっぱり活性化して盛り上がります」(PHOTO/Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月6日号より

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