＜三井住友VISA太平洋マスターズ／太平洋C御殿場C（静岡）／7262Y・パー70／11月10日〜13日＞
PHOTO／Tadashi Anezaki

第50回の記念大会、「入場無料」で観客を迎え入れた三井住友VISA太平洋マスターズ。今季最大のギャラリーのなか、「ドラマが生まれる」舞台で最後にセンターに立ったのは石川遼。大混戦を制して2年11カ月ぶり18勝目を飾った。

雨のなか時折強風も吹くコンディションとなった最終日は、息の詰まるような熱戦となった。

最終組は、21歳、26歳、31歳と“5歳刻み”の面々。日本オープンの歴史を作った男、プロ2戦目の蟬川泰果、ツアーの歴史を作り続けてきた男、髪を切って心機一転で臨む石川遼、その石川の弟分で歴史を作っていきたい男、星野陸也の顔合わせだ。

1番パー4、3打差首位でスタートした蟬川がバーディを奪うと、石川も長いパットを沈めてバーディ。その後4番までに3つ伸ばした石川が流れをつかんだかに思えた。しかしその後2つのボギーでスコアを落とす。

前半は我慢のゴルフが続いた星野は、9番、10番を連続バーディとし首位に立つ。一方蟬川は、15番までに3つスコアを落とし16番でダブルボギーを叩き戦線離脱。プロ初勝利のプレッシャーか。

そして15番パー4。星野が3パットのボギー、石川がバーディを奪い、2人が8アンダーで並んだまま最終ホールでも決着はつかずプレーオフへ。

1ホール目はどちらもパー。2ホール目、石川はティーショットを右に大きく曲げ、2打目は林から出し左ラフへ。星野はフェアウェイからの2打目がグリーン左のバンカーへ。勝負の3打目、石川はピン下4ｍに付けたが、星野のバンカーショットは10mほどオーバー。石川がこのバーディパットを沈め、19年の日本シリーズJTカップ以来の優勝を手にした。

スウィング改造にも積極的に取り組み、苦しみながらも進化する石川遼。「最近は新しいスウィングのプレーンのなかでコントロールできる状態。中途半端なスウィングは減ってきている。今が一番大事。ここでしっかり固め切っていきたいです」

それにしても、こんなに最後まで目が離せない戦いが見られるなら有料でも――と思える試合だった。石川も「お金を払ってでも」見に行きたいと思ってもらえるよう頑張りたいという。「今、男子ツアーの雰囲気はよいと思うし、みんな向上心があって、ハングリー精神がある人が増えたり、見てても面白いはず。急にバーンとギャラリーが増えるのは難しいと思うけど、今の選手たちのすごくよい雰囲気とか関係性をこのまま続けていければレベルも上がって、見に行きたいと思ってもらえると確信しています」

残り3試合、プロたちの気持ちの入ったプレーを見て応援したい。

進化するために何でも取り入れる姿勢は変わらぬ石川。パッティングでも約1カ月前から「エイムポイント」を取り入れ、自分の感覚とのすり合わせを行い、迷いなく打てるようになったという

今季2勝目を逃した星野。「プレーオフまでいって最後まで勝ちきれなかったことが悔しかった。調子はいい感じですので残りの試合でもう1勝したいです」

プロ2戦目の優勝チャンスを逃した蟬川。「周りを見すぎた。流れが悪くなったときの対処の仕方を研究して、もっと成長して来週を迎えられるようにしたいです」

＜三井住友VISA太平洋マスターズ・最終成績＞

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月29日号より