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【ヘッドデータは嘘つかない】安定したフェード系弾道で攻められる! タイトリスト「TSR2」ドライバー

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はタイトリストの『TSR2』ドライバーを取り上げる。

前作『TSi2』より構えやすい

早速、クラブとヘッドを計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.0度、シャフトはメーカー純正の『TSP310 60』(フレックスS)。いつもどおり数値はすべて実測値を表記している。クラブの長さは45.25インチとやや長く、クラブ重量は310.4gとやや重く、そしてスウィングウェイトもD3.4と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが294万g・㎠と大きくなっている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが47m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計と言えるだろう。

ヘッドは横幅が広い丸型形状だが、前モデル『TSi2』よりも横幅が狭くなり、素直に構えやすくなったイメージがある。アドレスでの強めのオープンフェース(1.5度オープン)は継続で、かつフェースのトウ側に逃げ感も出ている。ヘッドの後方が低いシャローバック形状なので、インパクトをアッパーに振るイメージが出ている。

Point1 クラブ重量が310.4ɡとやや重い
Point2 クラブ全体慣性モーメントが294万ɡ・㎠と大きい
Point3 ネック軸周り慣性モーメントが8266ɡ・㎠と非常に大きい

重心距離が長くヘッドの返りがゆるやか

実際に試打したところ、アドレスでは前モデルよりもヘッドの横幅が狭くなった分、構えやすくなった感じがする。シャフトは前モデルよりはしっかり感があるが、まだややヘッドのパフォーマンスに負けていると言わざるを得ない。タイトリストはプレミアムシャフトとして、『ツアーAD DI』と『ツアーAD IZ』を用意しているので、そちらのシャフトも試打するのがいいだろう。

ヘッド重量は202.6gと重く、リアルロフトは表示ロフトよりも小さく厳しい設計(9.7度)なので、うまくミートすればインパクトでボール初速を上げやすくなっている。重心深度は42.5ミリと最近の標準的なドライバーヘッドと比較すると非常に深いが、前モデルよりも浅いので、『TSR2』は大きなヘッド慣性モーメントを狙っていないことがわかる。一方、重心距離は41.7ミリと前モデルよりも長く、かつフェースの中央よりもトウ寄りにスイートスポットが位置していることが特徴で、フェースの中央で球をヒットしてもスライス系スピンが入りやすくなる。

同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも8266g・㎠と非常に大きいので、基本ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかで、全般に球をつかまえ過ぎない設計といえる。フェースの反発自体は標準的な感じだが、ロフト角9.0度のモデルと比較すると、10.0度はインパクトロフトが増えるのでバックスピンが多くなり、安定したストレート~フェード系弾道が打ちやすい。個人的には、前モデルよりも構えやすくなったことからツアープロの使用率がどれほど上がるかが興味深い。

構えた”顔”は前モデル『TSi2』と異なるが、米国モデルらしいオープンフェースと、フェースのトウ側にある丸みでつかまり過ぎないイメージが出ている

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

タイトリスト

TSR2 ドライバー

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月1日号より