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【ゴルフに運はつきもの】Vol.25「パッティングが珍しく“普通に”入ってくれています」

最強のサラリーマンとしてアマチュア時代に輝かしい成績を収め、49歳でプロ転向した“中年の星”こと田村尚之プロ。群雄割拠のシニア界で気を吐く異色プロが、自身のゴルフについて、そしてシニアツアーの裏側について語る。

前回のお話はこちら

シニアツアーは、6月3週目のスターツシニアからお盆明けのファンケルクラシックまで、しばらくお休みでした。まあ日本中が酷暑でしたし、ちょうどいいタイミングでのひと休みだったかもしれませんね。

とはいえ、シニアプロが何もしていないわけではありません。7月中旬には日本プロゴルフ協会後援の鴻巣シニアオープンが開催されましたし、8月2週目には登別シニアオープンや広電オープンも開催されました。ツアー外とはいえ、このように試合を開催していただけるのは本当にありがたい限りです。

私の場合は、6月4週目に全米シニアオープンに出場し、鴻巣シニアオープンにも出場させていただきました。全米シニアオープンは残念ながら予選を通過することはできませんでしたが、2日目には71でラウンドできましたし、鴻巣シニアオープンでは2位に入ることができ、それなりに手応えは感じることができました。とくにパッティングが……珍しく“普通に”入ってくれています。


シニアツアー3戦目のすまいーだカップから使っている、キャスコのプロトタイプの赤パターがすごく良いんですよ。詳しくは言えないんですが、クラウン部分のラインを長くしてもらってさらに方向性がよくなりましたし、重心もより深くする工夫をしてもらってボールの転がりも非常によくなりましたしね。

じつは先日、スポンサー企業の方々と横浜CCをラウンドさせていただきましたが、ハーフ7バーディの28(パー35)も出ましてね。ハーフ20台は何度か出してますが、チップインやイーグルがない7アンダーは初めてだったかもしれません。まあ試合で入らないと意味がありませんが、パッティングの不安が少なくなっているのは好材料ですね。

わかっていますがもう一度!
ゴルフには優勝の順番が決まっているのかも

話は変わりますが、全英女子オープンの渋野選手は惜しかったですねえ。夜中でしたが、最終日の前半をテレビで見ていました。3番、4番の連続3パットボギーがねえ。とくにファーストパットをショートしての3パットは精神的にこたえます。ともにパーパットがカップに蹴られて、不運といえば不運でしたが……。まあすぐ5番でイーグルを取るところが彼女らしかったですけどね。

でも渋野選手は全英が合うんですね。直前までの成績からは一変ですものね。彼女には、リンクスコースを攻略する「想像力」が備わっているんでしょう。自分でも、ここへ来ると不思議な力が働くなあ、と感じて、自信を持ってゴルフができたはずです。

渋野選手の3番、4番ホールのパッティングを見て、まさにゴルフに運はつきもの、とも思いますが、今回の全英女子オープンについていえば、ゴルフには順番もある、ということでしょう。2019年大会で渋野選手が優勝した時に、最終日最終組で渋野選手と一緒だったブハイ選手と、今回も最終日最終組で一緒でしたから。神様が「今回はブハイ選手に勝たせてあげよう」としたのではないでしょうか。

私も昨年、ファンケルクラシックでプレーオフを制して優勝した時、やっと順番が来たんだなあ、と思いました。それまでプレーオフは2戦2敗でしたし、前回大会では昨年と同じ3人のプレーオフで負けてましたから。

シニアツアーは、お盆明けのファンケルクラシックから再開。もう私に順番は回って来ないかもしれませんが、一応ディフェンディングチャンピオンとして、なんとかパッティングを決めて、優勝争いに加わりたいものです。

田村尚之2022年ここまでの成績

ほかの部門別成績に比べると平均パットが劣っているように見えるが、それほど悪いデータではない。調子は上向きというので、どれだけ上がるか楽しみだ

田村尚之

1964年6月24日生まれ。「日本ミッドアマ」2連覇、「日本アマ」2位などを経て49歳でプロへ転向。2016年「富士フイルムシニア」でツアー初優勝

月刊ゴルフダイジェスト2022年10月号より