2019年のルール大改正でやさしくなったとはいえ、まだまだ複雑なゴルフルール。すべてを頭に入れておくのは大変だが、ゴルフを楽しむうえで、最低限のルールは覚えておきたい。今回は、「打順」に関するルールをご紹介!

打順を間違えたら罰はつく?

最大4人のプレーヤーが同じ組でプレーするゴルフでは、打球事故などの危険を防ぐためにも、「打順」というものが決められている。原則として、最初のホールでは、委員会が設定した「組み合わせ表」に記載された順番でプレーする。組み合わせ表がない場合には、くじ引き等による無作為な方法で順番を決めるか、年齢順などプレーヤー間で同意の取れた任意の方法で決めていい。

すべてのプレーヤーがホールをスタートした後は、「遠球先打」、つまりホールから最も遠い球から順にプレーしていくのが基本。もし2つの球の残り距離がほぼ同じで、どちらが最初に打つべきか分からない場合は、両者の同意か無作為な方法によって決める（規則6.4b）。

どちらが先に打とうがあまり関係ない気もするが、上空の風向きが読みづらい場合や、グリーン上の転がりが曖昧な時などは、後から打ったほうが有利なケースもあり、シビアな試合ではグリーン上で旗竿を使ってボールまでの距離を測ったりするケースもある。

最初のホールをホールアウトしたあとは、そのホールのスコアがその組で最も少ないプレーヤーが、次のティーイングエリアでオナー（最初に打つ人）となる。2番目にスコアが少なかったプレーヤーがその次にプレーし、その後も同様。複数のプレーヤーが同スコアだった場合は、前のホールと同じ順番でプレーする。

ゴルフ規則にはこのように書かれているが、ついうっかりしていて打順を間違えてしまうこともある。もし打順を間違えたら罰はつくのだろうか。

正解は「罰なし」。うっかり打順を間違えただけなら特に罰はないので安心しよう。ただし、誰かを優利にするためにわざと打順を変え2罰打ることに同意した場合、関係したプレーヤーは2罰打を受ける（規則6.4b）。また、打つ順番が非常に重要な要素となるマッチプレーでは、順番を間違えた場合、相手はそのストロークを取り消すことができる（規則6.4a）。

「準備ができた人から打つ」は
むしろルールで推奨されている

プレーの順番に関しては、2019年のルール改正で「レディーゴルフ」という項目が新たに規則書に明記され、推奨されるようになった。これは簡単にいえば、「すでに準備のできている者がいれば、先に打っていい」というもので、「遠球先打」の原則がありつつも、プレー時間短縮のために積極的に活用すべきルールとして追加されたものだ。

たとえば先に打つべきプレーヤーのボールがカートから遠く、そこに着くまでに時間がかかりそうであれば、カートから近い場所にあるプレーヤーが「先に打っとくよ」と断ったうえで先に打つ。あるいは同伴者が球を曲げ、林の中で探しているときに、全員が探しに行くよりも、打てる人は先に打ってから探しにいくようにする。これだけでもだいぶ進行はスムーズになるはずだ。

もちろん、レディーゴルフだからといって自分勝手にどんどんボールを進めていっていいわけではない。先に打つべき順番の人の準備が整っていて、先に打ちたいという意思を示している場合は当然そのプレーを妨げてはならないし、誰も見ていない状況で打つことで打球事故につながる恐れもある。遠い人よりも先に打つ場合は、必ず同伴者の合意のうえで行うようにしよう。

またマナーとして、とくにティーイングエリアで最初に打つのは名誉（honor）ということもあり、年長者がオナーなのに勝手に先に打ったりすると、気分を害することがある。ゴルフ歴が長い人ほど意外と気にする部分ではあるので、注意したいところだ。

レディーゴルフが推奨されているということも念頭に置きつつ、「打順」に関するその他のルールの疑問を『2021-2022 GOLFDIGEST ゴルフルール早わかり集』から抜粋して紹介していこう。

Q. ティーイングエリアで暫定球をプレーする場合の打順は?

A. 他のプレーヤーが打ち終わった後に打つ（規則6.4）

ティーショットがOBかもしれない、または紛失しているかもしれないと思った場合にプレーする暫定球は、他のプレーヤーたちがそれぞれ第1打をプレーしたあとにプレーする。

Q. ティーイングエリア以外の場所で暫定球をプレーする場合の打順は?

A. 他のプレーヤーが打つ前にストロークする（規則6.4）

セカンド地点やサード地点で球を曲げてしまい、暫定球をプレーする場合は、まだ自分が一番遠いはずなので、他のプレーヤーのプレーを待たずに、続けてプレーする（ボールを取りにカートに戻る場合などは先に打ってもらうようにしよう）。

Q. パッティンググリーン上でのパットする順番は?

A. ホールより遠い方が先にプレーだが、例外もある（規則6.4）

グリーン上でも原則のとおり、ホールよりも遠いプレーヤーから先にプレーするが、時間短縮のために短いパットを先にプレーするときや、スタンスを取ろうとすると他のプレーヤーのプレーの線を踏んでしまう場合などは、プレーの順番を変えることができる。

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