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【名手の名言】ジーン・サラゼン「目の前のボールに集中しろ。スコアはあとからついてくる」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、世界で初めて「キャリア・グランドスラム」を達成した伝説の名手、ジーン・サラゼンの言葉を2つご紹介!

1935年のマスターズ最終日に15番ホールでアルバトロスを奪い、キャリアグランドスラムを達成したサラゼン


目の前のボールに集中しろ。
スコアはあとからついてくる

ジーン・サラゼン


このたぐいの名言はほかにもあるが、ジーン・サラゼンが言ったところに説得力がある。

サラゼンは163センチとアメリカ人のなかでは非常に小柄なのだが、負けん気は人一倍強かった。

「ゴルフは小さいほど有利だ。だって大男なら地面のボールは豆粒だが、わたしにはディンプルの中のほこりでさえ見える」とうそぶいて、大男に敢然と向かっていった負けず嫌いである。

その迫力が『集中しろ』に込められている。その気迫で、世界で初めて全英オープン、全米オープン、全米プロ、マスターズの4冠をとるグランドスラマーになった。

後年はTV解説、世界中を旅してのチャリティーゴルフなど、好々爺のゴルフ親善大使としてその名を知られた。アイデアマンで、サンドウェッジの発明者でもある。


基本を身につける前に
スコアをつけようとするのは
歩き方を覚える前に
走ろうとする馬鹿げた行為だ

ジーン・サラゼン


こちらはなかなか手厳しい言葉だが、スコアをつけるのはまず基本が備わってから、とサラゼンは言う。

なかには練習もほとんどしないまま、いきなりコースデビューしてしまう人もいるようだが、基本的にはコースに出る前に、ある程度球を前に飛ばせるよう練習しておく必要があることは言うまでもない。

そしてコースへ出ても、最初のうちはスコアをつけることにとらわれず、まずゴルフの基本的なルールやマナー、プレーの進め方を覚えることが最優先といえる。

そんなことを言うと「だからゴルフは堅苦しくて嫌なんだ」という声が聞こえてきそうだが、ゴルフに限らず、スポーツやゲームは必ず何らかの決まり事があってこそ成立するもの。もし何も“縛り”がなく、好きなようにやっていいと言われたら、まったくゲーム性のないつまらないものになってしまうだろう。

ゴルフは服装がうるさいと言われることもあるが、チームスポーツにおけるユニフォームや、武道における胴着など、スポーツの多くは服装に制約がある。むしろ他のスポーツに比べれば、ゴルフの服装は圧倒的に自由度が高いともいえる。

話が逸れたが、「スコアをつける」ということに関しては、初心者のみならず、ベテランゴルファーも、一度思い切ってスコアをつけずにラウンドしてみてもいいかもしれない。ゴルフそのものと真摯に向き合うことができ、きっと新しい発見があるはずだ。

■ジーン・サラゼン

1902~1999年。ニューヨーク州ハリソン市にイタリア系移民の長男として生まれる。貧しい家計を助けるため10歳でキャディになる。17歳で学校は中退。大工の見習いになるが、大病。その後パブリックゴルフ場につとめプロゴルファーへの道が開けた。20歳のとき、「マッチの鬼」といわれたウォルター・ヘーゲンを破り全米プロに勝ち、メジャーでの初勝利をもぎとる。28年には全英オープン、30年全米オープン、33年にはあの有名な15番のアルバトロスでマスターズを制覇し、世界で初めてキャリア・グランドスラムを達成。ゴルフ殿堂入りもしている。日本では「ジュンクラシック」のホストとしても親しまれた。