【笑顔のレシピ】Vol.112「だって」「でも」……子どもが言い訳ばかり。それ、あなたのマネをしているのかも?
メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!
TEXT/SHOTANOW
「自立」した選手とは、何でも“自分ごと”として捉え、他人や環境のせいにしないということ。そうなるには「素直に謝れる」というのが一つの条件だと思っています。
子どもが間違いを認め謝れるようになるには、まずは親が手本を示してあげるべきです。それをせずに、謝るというカタチだけを教えても意味がありません。親がしていないと、自分もしなくてもいいとマネるのが子どもですから。
また、明確に間違っていなくてもコミュニケーションのズレから、前に伝えていたことと違うように伝わってしまう場合もあります。例えば、自分の洗濯物は自分で片づけるようにお母さんと約束をしていたとしましょう。ところがある日、テストの点が悪いことがわかり、洗濯物を畳もうとしていた子どもにお父さんが「そんなのはいいから、早く勉強しなさい」と言う。子どもは当然不満に思うはずです。
どこの家庭にでも起こりそうな日常の会話ですね。このように文字で読めば、不満の要因は両親のコミュニケーション不足が原因だとわかります。だからそのことを謝ったうえで、何に取り組むか決めていけばいい。
でもたいていの場合、子どもに謝らず「テストで悪い点を取ってきたのが悪い」とか、「洗濯物を早く片づけなかったのが悪い」と言ってしまいがちです。
こういった責任の回避を子どもは感覚的に身につけます。すると、指摘やアドバイスをしても、「だって」や「でも」という言葉が真っ先に出るようになる。
僕も生徒に細かい説明を省いてしまったがゆえに、これまで伝えていたのとは違うメッセージになってしまうこともあります。その時は、本人の立場に立ち、間違っていたことはきちんと謝るようにしています。
普段「言い訳をするな」とよく口にしていると思ったら、まず自分が謝れているのかチェックしてみてください。間違いを認めるのは恥ずかしいことではないと、一番身近なお手本になってあげてほしいと思います。
青木翔
あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている
週刊ゴルフダイジェスト2022年2月15日号より