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「3年半、ひたすらPWでフルショット」53歳で初優勝! 立山光広が気づいた“体が硬い人”のスウィング論

53歳にして、「日本プロシニア」でプロ入り後、初優勝を挙げた立山光広。ツアー界随一の“練習嫌い”が、1日150球を3年半、ほぼPWのみ・約20万球の練習で気づいたのは「50歳からのスウィングはPWが作る」ということ。その真意を詳しく聞いてみた。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/平川CC

立山光広
名門・日体荏原高等学校出身。高校時代は伊澤利光や細川和彦、丸山茂樹らとともに、最強の名をほしいままに。レギュラーツアー時代は2位を4回取るも優勝経験なし。10月の日本プロシニアで悲願の初優勝を挙げた

体を使いにくいクラブで大きく使う!

もともと野球少年だった立山はレギュラー時代、持ち前のスピードとパワーで、300ヤード超えの飛ばしが武器だった。

「当時は飛んでいたけど、曲がり幅も大きかったから、球を安定させるためにスウィングをどんどん小さくしていました。若くて体も動いていたから、そのときはそれで良かったですが、年齢が上がるにつれ、柔軟性の低下や失敗経験が原因で、ショートアイアンですら真っすぐ飛ばせなくなっていました」

十分な捻転差を作れず、「クラブが外から下りてきて、引っかけしか出なかった」という立山は、加齢と失敗経験がスウィングを小さくしたという仮定のもと、PWで猛練習を始めた。でも、なぜPWを選んだのか?

「体を大きく使いづらいから。ドライバーだと大きく振れるでしょ? 短くなるほど体を使うことが難しくなるんです」

重量バランス的にもフルショットしやすいPWで『体を大きく使う』練習を重ね、かつての大きなスウィングを取り戻した立山。『PWフルショット練』を始めて3年半、初優勝でメジャー獲りを達成したときには、すべての番手で左のミスが激減していた。


「左を恐れず振り抜く!」

【気づきPoint】
体を大きく使えると自然と球は右に出る

「真っすぐ打つことに固執するほど、球は左へ行く」と立山。「大きく体を使えれば、自然とクラブはインから下りてきて、球は右へ打ち出されます。体を使えていれば球もつかまるので、自然にドローします」(立山)

バックスウィングはどこも止めずに
「ギャッ」と回す

加齢と失敗経験からスウィングが小さくなり、クラブが外から入りやすくなるという立山。では、『体を大きく使う』には、具体的にどうすればいいのか?

「肩と股関節を『ギャッ!』と回すんですよ!」

ギャッ??

「テークバックを回しきらないうちに切り返すから、ダウンスウィングでクラブが外から下りるんです。単純な話ですが、柔軟性が落ちた人や『真っすぐ打ちたい』気持ちが強い人を見ると、みんなテークバックが小さくなっているんです。大きく体を使うためには、『回る』ことが大事。テークバックで股関節をガマンするなんて聞きますが、それじゃあ肩は入りませんよ。僕らの年代になったら、どこも固めず、『フリーに回る』ことがとても大事なんです」

インパクトやフォローのイメージは?

「あまりないですね。テークバックでしっかりと回れさえすれば、クラブは内側から入ってくる。そこまでが正しければ、後は考えずとも自然に動くんです」

むしろ“当て方”や“抜き方”を考えること自体が回転を止めるストッパーになる。大切なのは『回すこと』なのだ。

【気づきPoint 2】
肩と股関節は「ギャッ!」と回すんだ

テークバックで股関節を固めず、肩が入ることで、インから下りると立山。「カットに振る人もいますが、ヘッドはあくまでもインから下りるのが基本。こすり球だと風に弱く方向性も安定しません」

【もうワンポイント】
クツひもゆるゆるで「もっと回る」

クツひもを結び忘れていると思いきや、「これも回転のため」と立山。「足元が硬いだけで回転量は落ちるんです」

立山光広のPWスウィング

インパクトで肩のラインは
ちょいクローズ

近年、たまに「インパクトで体は思い切り左(目標)を向いて良い」という解説を目にするが、立山の理屈はちょっとちがう。

「若手のプロを見ると、たしかにインパクトで腰も肩も開いていますが、あれはスピードや柔軟性あっての話。さらに彼らはそもそも飛ぶから、“逃がす”ことでつかまりすぎを抑えます。僕らシニアはある程度、飛距離を稼ぐ必要があるから、球をつかまえる必要があるんです」

そのためには、インパクトで肩の向きはスクエア-若干クローズくらいがちょうど良いと立山。

「右へ打ち出してつかまった球を打ちたいから、僕の場合、肩のラインは少しクローズくらいが良いけれど、真っすぐ打ち出したい人は、スクエアでも良いかもしれません。腰は左を向いて構いませんが、体が硬い人にとって、肩が左を向くのは絶対に避けたい。十分な捻転差を作れず、インパクトで腰が引けたり、手が浮くからです」

柔軟性だけでなく、パワーも落ちてきた世代にとって、“力を逃がす”要素は、できるだけ排除しておきたいということだ。

切り返しの力を体の正面で受け止める

柔軟性が落ち、捻転差を作りにくくなってきたら、上半身全の正面に手があるほうがパワーが逃げにくい

肩が開くと溜まった力が逃げてしまう

「体が硬い人がインパクトで肩を開くと、腰が引けて手が浮く」と立山。「これだと飛距離も出にくいうえ、開いたフェースを閉じようと、無理につかまえようとしてしまう」(立山)

Point
手は低い位置を絶対キープ!

【気づきPoint 3】
手は低い位置を絶対キープ!

力をボールに伝え、フェース向き通りに打ち出すためには、ライ角通りのインパクトが必須。「インパクトで手の浮きが直らない人は、肩の向きを確認するといいです」(立山)

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月21日号より