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【世界基準を追いかけろ!】Vol.63「インプットし続けることの大切さ」

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回はコーチとしてスキルアップするために心掛けていることを話してくれた。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD お二人は最近、コーチ業のスキルアップのためにどのようなことをやっていますか。

黒宮 11月の初めに、海外とのリモートでカタリスト(※1)を中心とした地面反力などの講習を受けました。あと今年はQTが終わった後に、ビジョン系の講習も受けようと思っています。

GD スポーツビジョントレーニング(※2)ですか。


黒宮 はい。トッププレーヤーから話を聞くと、視力は悪くないのに、ショットやパッティングのアライメントがどうも上手くとれないと感じる選手が多いみたいで。でもそれはいわゆる視力の低下とかの問題ではなくて、目の可動域とか、両目のコーディネーションによる直線の作り方がおかしくなっているケースなどが多いようなんです。それと、心理的な影響も目に及ぶということなので、そうなると、僕たちコーチが教えたことを、選手が上手く再現できない原因は、運動能力の問題以前に、心理的な影響による目の問題であることも少なくないわけです。ですから、ビジョントレーニングなどをやることで、自分たちが教えることを選手が100%発揮できるように近づけられればと思い、講習を受けてみようと思っています。

GD 目澤さんは、アメリカで講習を受けるなど何かインプットをされていますか。

目澤 僕はアメリカでは、コーチたちと話し合ったり、意見を聞いたりする機会を多く持つようにしています。デービッド・オーとはメールやフェイスブックのメッセージなどで繋がっていて、パッティング全般から松山プロの話まで、広く意見を聞いたりしています。あのレベルになると、話を聞いていても内容が濃く勉強になるので、その点では良いインプットになっています。

GD 実際にコーチをするうえで役に立てているわけですか。

目澤 もちろん、僕から意見を投げたことに対し、返ってきた答えの中から、何か良いヒントになるものがあれば、自分のコーチングに生かすこともあります。でもその場合でも、内容を選手に合わせた形にしたり、それを伝えるのに適切なタイミングの判断もありますから、聞いたそのものをじかに伝えるということはありません。

GD 要するに高いレベルで情報交換をしているということですね。

目澤 そうですね。松山プロがマスターズで優勝した後は、アメリカのコーチでも、ある程度、自分のことを対等に見てくれる人が増えたのか、向こうから声を掛けてくれるケースもあります。ショーン・フォーリーも、松山プロのスウィングをよく見ているようで、「ヒデキのレイドオフは凄いね」とか「バックスウィング最高だよ」などと言って近寄ってきます。インパクトは? ってこちらから聞き返すと、親指を立てて“Nice!”って笑っていますよ(笑)。ショーンは、一見軽い感じですが、でもリディア・コーなどは、ショーンに習ってスウィング良くなりましたよね。

GD そういう世界のトップコーチとの何気ない会話にインプットの材料があるということですね。

(※1)スウィングカタリスト……プレッシャー解析を行うバランスプレートと3Dモーションプレートにより、スイング中のバランス、プレッシャー(荷重)の移動などが解析できるソフトウェア。(※2)ビジョントレーニング……視覚機能を高めるためのトレーニング。眼球を動かす筋肉である眼筋を鍛えることで、両目を使って目標物を正確に捉える両目のコーディネーションを向上させたり、目からの情報を脳で処理して的確に体を動かす運動機能を向上させることが期待できる

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月23日号より