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【キミこそ王子だ】Vol.260 驚きの高弾道ショットで関東ジュニアを制した中学生

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は、神奈川県出身、横浜市立永田中学校2年の渋井晃太郎くん。高弾道のフェードボールを武器に、本年度「関東ジュニア」を制した逸材。武市が感じた強さの秘密とは?

今回の王子候補
渋井 晃太郎くん

●主な戦歴/2021 関東ジュニアゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア/64(ムーンレイクGC茂原C)●練習/1日200球 ●トレーニング/毎日5kmのランニング


7月に行われた「関東ジュニアゴルフ選手権(12~14歳の部)」で2位に7打差をつけ、中学2年で優勝した渋井晃太郎くん。

ゴルフとの出合いは6歳のとき。家族で沖縄旅行に行った際、パターゴルフに挑戦した。クラブを初めて握ったにも関わらず、ポンポンカップに入ったのが楽しく、自分から「ゴルフをやりたい」とお願いしたのだとか。両親はゴルフをほとんどやらないので、最初は戸惑ったが、とりあえず近所のスクールに通わせてみたら、めきめきと上達し、驚いたそうだ。現在は、月イチペースで一反田拓三プロのラウンドレッスンを受講している。

武市は晃太郎くんの練習風景を見て2連発で驚いた。

「背、高っ!」

「球、高っ!」

身長は中2で178センチ。球は3Wでも練習場の天井に当たるほど高い。

「どんなことを意識して打っているの?」

「切り返しで体が止まらないように。左のお尻のポケットを後ろに引っぱられる感じで体を回転させ、左前に押すようなイメージで打っています」と説明してくれた晃太郎君。

実は、中学1年のときに卓球部に所属していて、その経験もゴルフに役立っているそうだ。


「どういうところが?」

「ラケットの中心で球をとらえる感覚と、ゴルフクラブの芯で球をとらえる感覚が似ています」

「面をあまり変えないで打つ感じ?」

「そうですね」

フェース面が真っすぐな状態で球をとらえているため、ターフがほとんど取れないそうだ。

「晃太郎くんの球筋はハイフェード。コンパクトなトップから、下半身を動かし続けることで、アップライト軌道をキープし、ヘッドを高い位置へと振り抜く。右手の使い方も上手くスクエアフェースの状態が長いから、曲がらないし、距離も出るよね」

「ありがとうございます」

「これだけ球が高いと、ランを考えずキャリーだけを計算してグリーンを狙えていいよね。雨の日も楽でしょ?」

「いや~そのときによります」

「そうだよね(笑)。でも、ウッドでもキャリー計算でしょ?」

「はい、そうですね」

「ランの計算って難しいじゃない。平らなところに落ちれば転がるし、変なところに落ちれば止まる。その差はスコアメイクに大きく影響するよね。その点、晃太郎くんの球筋なら心配はない。キャリー、もっと言えば弾道の頂点、さらに言えば、打ち出し角度さえ揃えれば、おのずと距離も揃う。球を正確にとらえるセンスもあるから、打ち出し角度を揃えることができる。だから、思ったところに、思った距離で狙える。それが、晃太郎くんの最大の強みだと思う」

「ありがとうございます!」

武市の褒め言葉に笑顔で答えてくれた晃太郎くん。

目標は関東ジュニアで2連覇、そして全国制覇。彼ならきっとかなえてくれるに違いない。

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月2日号より