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【キミこそ王子だ】Vol.258「フィニッシュはハイライトを入れる感じ」独特の感性で飛ばす関西の超新星

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は京都府出身、奈良育英高等学校1年の上久保実咲さん。武市が「球をとらえるセンスがピカイチ」と語る彼女のスウィングとは?

今回の王女候補
上久保 実咲さん

かみくぼ・みさき ●主な戦歴/2021 日本ジュニアゴルフ選手権15~17歳の部 2位 ●ベストスコア/66(サンヒルズCC) ●練習/毎日200~300球2時間 ●トレーニング/週3~4回体幹トレーニング


今年「日本ジュニアゴルフ選手権」で2位となった上久保実咲さん。8歳のとき、父と兄の影響でゴルフを始める。中学では陸上部に所属していたこともあり、ゴルフの練習量はそれほど多くなかった。しかし、高校ではゴルフ1本に絞ったので、おのずと練習量が倍増。その努力が、冒頭の結果につながった。

プロには教わらず父親のアドバイスを参考にする程度とのことだが、「なかなか完成度の高いスウィング」と武市は言う。

「ボールのとらえ方がとてもいい。アプローチ、アイアン、ドライバーと全番手、インパクトの形が同じなので、とても安定している。どんなことを意識しているの?」

「いかに気持ちよく振るか。それだけです」

「逆にどうなると気持ちよく振れないの?」

「試合で緊張すると、頭が飛球線方向に動いてしまうことがあります。そうなると、気持ちよく振れないので、そこを注意しています」


「たしかにスウィングを見ると、頭がボールを追い越さず、常にボールより右側にあるよね」

ボールより右側に頭がある状態、つまりビハインド・ザ・ボールは、昔から伝えられているナイスショットのポイント。そのメリットについて武市は次のように解説する。

「頭が飛球線方向に動くと、クラブが外から入りやすく、スウィングプレーンから外れやすくなる。ビハインド・ザ・ボールはそれを防ぎ、自然とハンドファーストになるので、ロフトを立てながらインパクトできるのがメリット」

それなら、頭を絶対動かさなければいいんでしょ、と思う人も多いかもしれないが、「それは勘違い」と武市。

「ビハインド・ザ・ボールを身につけるには、さまざまな要素があるので、単純に頭を動かさなければいいというものではない。ただ、実咲さんを例にとって、ひとつポイントを挙げるとするとアドレスかな。一般的なアマチュアは、アドレス時にボールの真上に頭がある人が多い。で、そのまま頭を固定して打つと、どうしたってビハインド・ザ・ボールにはならない。それどころか、手と頭が一緒に目標方向に動いてしまいかねない。その点、実咲さんは、アドレスからすでに頭がボールの右にあり、正面から見ると逆Kの字になっている。しかも全番手で。これが、彼女が気持ちよくビハインド・ザ・ボールで振れるスバラシイ礎になっているとボクは思う」

さらに父親がデザイン関係の仕事をしていることもあり、実咲さんはイラストがとっても得意。好きなアニメを模写したものを見せてもらったが、これが驚愕の上手さなのだ。父親もそんな彼女には「フィニッシュは、もうちょっとハイライト入れる感じで」というようにアドバイスするそうだ。

「情景描写で表現してもらったほうがわかりやすいですね(笑)」

「ボクは絵心がないから、理解できないけど、“でら”面白い!」

今まで出会ったことがない独特な感性の持ち主、実咲さんの今後の活躍に注目だ!

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月5日号より