【陳さんとまわろう!】Vol.216 「フォロースルーでのターンアップ。これが大切です」
TEXT/Ken Tsukada ILLUST/Takashi Matsumoto
PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/河口湖CC、久我山ゴルフ
日本ゴルフ界のレジェンド、陳清波さんが自身のゴルフ観を語る当連載。前回はバックスウィングのコツを教えてもらったが、今回はフォロースルーについて。
インパクト以降は右腕を伸ばし
ヘッドを跳ね上げる
――前回に続いて飛ばしの話をしていただきますが、その前に前回のちょっとした復習を。
陳さん はい。前回は、トップオブスウィングで左ひじを曲げちゃいけない、必ず伸ばすようにという話をしましたよ。
ボールを飛ばそうとしてトップの位置を高く持っていくと、体が硬くなっている人は上体をひねることができないために、左ひじを曲げて高く持っていくわけね。しかし左ひじを曲げるとスウィングの半径が定まりにくくなりますから、インパクトが不正確になるんだねえ。
手は右肩の高さまで上がればそれで十分。左腕をまっすぐ伸ばしてそこまで上げれば、左腕の張りによって体が硬い人でも上体にひねりが生まれるし、体全体にも張りができて飛距離が出るようになりますよ、という話でした。
それからこれは前回話しませんでしたが、左ひじを伸ばして張りを持たせると、ダウンスウィングに入るタイミングがとりやすくなるんだ。この点でも正確なインパクトが生まれやすくなるわけね。
――だから飛ばせる、と。今回はフォロースルーでのターンアップの話ということですが、これは右腕を伸ばす動き。バックスウィングでは左腕を伸ばし、インパクト以降は右腕を伸ばしなさいという話ですね。
陳さん そうです。ターンアップはフォロースルーで大事なポイントになる動きなんですよ。私が出した「近代ゴルフ」(1960年報知新聞社刊「陳清波の近代ゴルフ」と翌年の続編)にも書きましたから、これは私の古くからの持論なんですよ。
――ターンアップについては思い出すことがあります。マルチタレントの大橋巨泉さん(故人)が「わがシングルへの道」(1977年講談社刊)という本を出していまして、その中の「陳清波プロの理論でハンデ18に」の章に次の下りがあるんです。
「ニーアクションを使ってボールをダウンブローに打ち、そのあとクラブを高くターンアップしていくというこの新理論は、当時のゴルフファンの間で大変な話題を呼んだものである」
陳さん へえ。面白いね。巨泉さんがシングルの腕前だってことは私もよく知っていますよ。
ターンアップというのは、フォロースルーで右腕を飛球方向へ伸ばしていきながら手首を親指側にコックさせる動きを言うんです。これでクラブヘッドを上にはね上げてフィニッシュに持っていくわけね。
――クラブが高々と上がってフィニッシュが大きくなりますね。
陳さん そうなの。フォロースルーを大きく、スウィングの弧を大きくね。これ、飛ばしで大事なことよ。具体的にどんな形になるかやってみましょうか。まずバックスウィングで左腕が地面と平行になったところをつくるわけ。左腕をしっかり伸ばしてね。次にこんどは体の向きを反対にしてフォロースルーをつくり、右腕を伸ばして地面と平行になるようにするの。するとほら、右と左で左右対称形のようになるでしょ。
――ああ、ホントですねえ。
陳さん スウィングはこの形をイメージしてつくるといいですよ。ドライバーなら左腕が地面と平行になったあたりからコックしてトップにもっていき、右腕が地面と平行になったあたりからターンアップしてフィニッシュにもっていく。やってみてください。きっと飛ばせますよ。
陳清波
ちん・せいは。1931年生まれ。台湾出身。マスターズ6回連続出場など60年代に世界で日本で大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くのファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきた
月刊ゴルフダイジェスト2021年9月号より