【PGAツアーHOTLINE】Vol.8 打った後に「クルッ」。ミケルソンのポストショットルーティン
ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos
PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOT LINE」。第8回のテーマはショット前、ショット後のルーティンについて。
いいショットのための「スイッチ」探し
前回キーガン・ブラッドリーのプレショットルーティンのお話をしました。観るほうには不思議な動作でも本人にはグッドプレーを誘発するための大切なプロセスだと言いました。
そのブラッドリーの憧れの人フィル・ミケルソンはナイスショットを打ったあとクラブをクルクルッと回すクセがあります。ジャスティン・トーマスも同じことをしますが、元祖は天才レフティ。いまや“クルッと回し”は子供たちが当たり前のようにやっています。
これはポストショットルーティン。いいショットを記憶に残しておくのに効果があり、プレショットルーティンと同様に重要な動作です。
タイガー・ウッズは右手の中指にストライプのテープを巻いていたことがあります。これは彼がグリップを正しく握るための目安だといいます。あのタイガーでさえ頼るべき何かが必要なのですね。
タイガー・ウッズはいつも右手の中指にテープを巻いているが、ストライプのテープを巻いていたことも
フレッド・カプルスはいつも打つ前に首を伸ばし、深く息を吸ってゆっくり吐いてからスウィングを始めます。そしてボールのナンバーは4以外を使用。まぁこれは験担ぎのひとつでもありますが。
ジャスティン・ローズはボールの後方に立ち、シャフトを地面と平行にする動作を行って方向をチェックしてから球を打ちます。
ジャスティン・ローズが打つ前にクラブを掲げて目標を確認する姿はおなじみ。これがひとつのルーティンになっている
アーロン・バデリーはパットを打つ前に必ず目を閉じます。セルヒオ・ガルシアは目を閉じたままパットを打ちます。ジェイソン・ダフナーはボールの真上でワッグルしないと始動できないようです。ミケルソンはまるで体の一部のように必ず腕時計をしてプレーをします。「常に時間を知りたいし人に聞くのはイヤだから」というのがその理由。
そして特筆すべきはタイガーのプレショットルーティンでしょう。彼はかつてプレショットルーティンにかける時間はきっかり17秒だと明言しています。そして記者がタイムを計ってみると見事に平均17秒だったのです。
「良いパットを打つにはスムーズなリズムとコンスタントなペースが必要」と彼は著書『How I Play Golf(私のゴルフ論)』に記しています。
良いプレーをするための工夫は人それぞれ。そこは個性があって構わない。人真似ではない集中するためのスイッチをあなたも探してみませんか?
コーリー・ヨシムラ
PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月10日号より